「年金2000万円不足」問題から考えたこと

 

こさいたろうの視点・論点 0103

2019/07/08

 

 

「年金2000万円不足」問題から考えたこと

 

 

不足するのは誰か。

 

今回問題になったのは、『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』。その資料によると、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿とある。その姿は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯、とある。夫婦の実収入は209,198円、実支出は263,718円と想定されている。したがって、毎月の不足額は約50,000円、30年続けると2000万円不足するということが記載されている。

 

ちなみに、収入はほぼすべてが夫婦の年金収入となっていて、支出の中には住居の家賃またはローン支払い等は入っていない。

 

     

素朴な感想。

 

この資料の前提である「高齢夫婦無職世帯」って、日本の高齢者全体のどのくらいの割合いるのだろうか。昔の統計の前提だった「夫婦と子ども二人のモデル世帯」って、もはやマジョリティーとは言えないはず。家を所有している人が当たり前の社会なのか。個人事業主や農業従事者など基礎年金のみ受給者は、これにならうともっと膨大に不足するはず。そういう人って、日本にはごく一部しかいないの。

 

たしかに、金融庁の「高齢者の資産形成・管理」についての審議会の、さらにワーキンググループの報告書なので、資産を持たない、持てない高齢者のことはそもそも度外視されているのかもしれない。でも、地方行政も含めた日本の行政機関の本質は表していると思う。

 

役人の方々は、国民や住民を語る時、どうしても自分たちが基準になる。これは非難はできない部分もある。人間なので。でも、公務員は国民の中でも特に安定的であり、特に将来にわたっての生活保障が手厚いと言っていい。大企業のサラリーマンもほぼ同様のことが言えるかもしれない。私が地方自治体の中で仕事をしていた際、気になっていたことの一つで、そのような視点を正し、国民が多様であることを伝えていくのが政治の役割の一つなのだと思っていた。

 

なので、「高齢夫婦無職世帯」だけを切り取ってなされる報告書など、単に参考資料でしかないと私は思う。このワーキンググループの参加者の一部には「オールジャパンで作った」などという声もあるようだが、そんなことあるはずがない。厳しい生活をしている高齢者、自らの加齢に不安を抱える高齢者予備軍、どれだけいるのだろうか。政治は、そちらに目を向けるべきだ。誤解を恐れずに言えば、出典資料の表には「教養娯楽」と「その他の消費支出」8万円近く計上されており、そこを節約すれば十分やっていける。私が間違えているだろうか。

 

問題が表面化してから、野党は「政府はうそを言っていた」と攻め、与党は参院選を気にして「資料はなくなった」とか「受け取らない」とか。永田町は騒がしかった。でも、国民サイドは比較的冷静だったように見えた。そもそも年金だけでは老後を賄えない、っていうのは多くの人がうすうす感じていたし、制度としても持続させるために何とかしなきゃ、っていうのも実現可能性はともかく、多くの人が思っていたことがよく分かった。永田町の面々の自己保身ともいえる争いだけが浮き彫りになった、と私は見る。これで争いが起きることそのものが、政治の劣化ではないか。

 

自分自身で老後に備え、準備できる人は、資産運用も含めてやってもらえばいいのだと思います。でも、一方で、今の制度では、老後を迎えるのに極度の不安を抱える人たちが増えていく。政治は、そちらに目を向けるべきだ。

 

基礎年金制度、健康保険制度と介護保険制度、そして、どうしても立ち行かない場合の最後の砦・生活保護制度、これらの制度を根本的に見直し、制度の再編をすべき。その際、制度を複雑に絡み合わせて分かりにくくすることはあってはならない。役人の数も投入する税金も、たくさん要することになってしまうので。私は、国民みんながぎりぎり安心して生活できるようにするには、給付付き税額控除制度を入り口に、ベーシックインカムという全国民への最低限所得保障制度を導入すべきなのではないかと考えている。また改めて私見を論じたい。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

 

※ 今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。

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19/06/25- 農夫こさいたろうだより

北巨摩〈きたこま〉の今

今の時期、北巨摩ではこんな風景が広がっていますが、今年はお日様がなかなか顔を出してくれません。梅雨らしいと言えば梅雨らしいのですが、気温はなかなか上がらず、ムシムシの梅雨らしくありません。気象情報を見ると、梅雨前線が北上せず、北からの寒気が流れ込み、大気が不安定になっているようです。つまり、いつもの梅雨空とは違う天気の悪さのようです。標高700メートル付近の我が家も、朝晩はまだ冷えているような状態です。

作物の生育も例年より二週間ほど遅れているね、と生産者の皆さんと話しています。猛暑は猛暑で問題ですが、気温が上がらない、日照が確保できないのもかなり心配です。なす、きゅうり、トマトなど、夏野菜を楽しみに待っているので、お天道様のご機嫌を伺う毎日です。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。

〈実験農場〉 Kosai Farm

〈 農夫の備忘録 〉

大豆。三年目の「あやこがね」の他に、昔この地域で作られていた「青大豆」も今年は播いています。生育はゆっくりですが、少しずつ大きくなっています。雑草の伸びも遅く、早い段階で雑草を抑える作業ができています。無事に実が成ってくれることを祈りながら。

にんにく。葉っぱがあまり大きくならず、実のつきは諦めていたのですが、まあまあ育っておりました。ただ、皆さんに食べて頂くほどの収穫量がなく、ほぼ自家消費させて頂きます。楽しみにして下さっている方もいらっしゃるのですが、また来年頑張りたいと思います。一部を冷凍に、一部を酢につけて消毒した後、醤油漬けにします。

お米。田植えを終え、人力の除草を終えました。あと数回、除草作業に入ります。

19/06/11 農夫 こさいたろう だより

北巨摩〈きたこま〉の今

梅雨に入りました。この文章を書いている6/9-10にかけて、朝晩はもう一度ストーブがほしいほど冷えています。5月の終わりから近所の田んぼの田植えも終わり、いつもならカエルの大合唱の毎日なのですが、この数日は寒すぎるのか、カエルはほとんど鳴きません。山里の気候はなかなか困ったものです(笑)

ただ、生産者の皆さんが丹精込めて作っている野菜やたまごは、とても品質が高く、寒暖の差が大きい春だったこともあり、いつも以上に甘みがのっている気がします。

写真は、北巨摩エリアのあるぶどう畑です。少し遅れているようですが、順調に蕾をつけ、もうすぐ花が咲きそうな様子です。いつかは、ブドウなどの果物も扱えればいいな、と思っています。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

〈実験農場〉 Kosai Farm

〈 農夫の備忘録 〉

今年も小さな田んぼを借りています。先日田植えを終えました。週末には、10人ほどの皆さんに来て頂いて、「田んぼに入ろう」イベントを開催しました。初めての方には、田んぼの泥の不思議な感触を体験してもらいました。無事に育つよう、6月は雑草抑制の作業をします。

また、自宅横の実験農場には、今年も大豆を播きました。今年はいつもの「あやこがね」とは別の場所に、「青大豆」という種も播いてみました。昔は、この地域で多くつくられていたという青大豆。無事育つよう祈っています。

19/06/04 農夫 こさいたろう だより

〈実験農場〉 Kosai Farm

〈 農夫の備忘録 〉今年も小さな田んぼを借りています。先日田植えを終えました。週末には、10人ほどの皆さんに来て頂いて、「田んぼに入ろう」イベントを開催しました。初めての方には、田んぼの泥の不思議な感触を体験してもらいました。無事に育つよう、6月は雑草抑制の作業をします。また、自宅横の実験農場には、今年も大豆を播きました。今年はいつもの「あやこがね」とは別の場所に、「青大豆」という種も播いてみました。昔は、この地域で多くつくられていたという青大豆。無事育つよう祈っています。

19/05/28- 農夫 こさいたろう だより

北巨摩〈きたこま〉の今

5月より野菜のお届けを開始しております。今年で3年目に入ります。山里の旬の味、ぜひ食卓でお楽しみ頂きたいと思っております。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今年は桜の開花ごろから寒さがぶり返し、5月に入ってからも霜が降りるなど、気温の上がらない春でした。そのため、野菜の生育が遅れ心配しましたが、季節は必ず巡るもの。おいしい野菜が育っています。ただ、今度は、季節外れの暑さがやって来ていて、人間の思い通りにはいきません。

写真は杉浦さんの畑。赤いサニーレタスが鮮やかです。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

〈実験農場〉 Kosai Farm

〈 農夫の備忘録 〉実験農場に、大豆を播きました。ほどなく芽が出てきました。これはこの畑で育った大豆の種です。だいぶ土がよくなった気がしています。今年は、この写真と別の場所に「青大豆」という大豆の種も播いてみました。昔は、この地域で多くつくられていたという青大豆。無事育ってくれるといいなと思っています。他の野菜への挑戦は、引き続き検討中です。なかなか結論が出せません。

19/05/07- 農夫 こさいたろう だより

※ この2カ月ほどの「農夫こさいたろうだより」を連続投稿いたします。季節の移り変わりが伝われば幸いです。

 

北巨摩〈きたこま〉の今

今年もいよいよ野菜のお届けを開始します。今年で3年目に入ります。山里の旬の味、ぜひ食卓でお楽しみ頂きたいと思っております。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

4月は寒さがぶり返しておりましたが、当地もようやく本格的な春を迎えました。寒の戻りと少雨が影響し、野菜の生育が若干遅く、今回の出荷について、実は少々心配があったのですが、何とかお届けする種類を揃えることができました。これからは野菜の種類も増えて参りますので、どうぞお楽しみになさって下さい。

写真は竹内さんのほうれん草。もう少し大きくなってお届けになります。もう一枚は、お米の種まきです。今年も小さな田んぼをやります。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

〈実験農場〉 Kosai Farm

〈 農夫の備忘録 〉今の実験農場には、少しだけ「にんにく」を植えています。順調に生育中です。この後、大豆の種を播きます。今年で3年目になります。だいぶ土がよくなったような気がしています。出来れば途中で枝豆を収穫し、熟して大豆になったら味噌に加工して、と思っています。加えて、他の野菜にも挑戦しようかどうか検討中です。

新「日米新時代」を議論すべき時ではないだろうか

 

こさいたろうの視点・論点 0102

2019/07/05

 

 

新「日米新時代」を議論すべき時ではないだろうか

 

 

「日米新時代」。この言葉は、安倍晋三首相の祖父、岸信介氏が首相の時に用いたものだ。近年公開された外交文書によれば、日米安保条約の改定のみならず、沖縄などの返還合意→衆参の選挙で3分の2を獲得→5年後をめどに憲法9条を改正→安保再度改定、これにより「相互防衛」が可能な体制を構築するという壮大な構想を念頭に置いた言葉だったことが明らかになっている。

 

歴史は岸氏の思惑通り進まなかったが、孫の安倍晋三氏が首相となり、その遺志を引き継いでいるように見える。2013年成立の「特定秘密保護法」は、約60年前の安保改定前夜、岸・ダレス会談で、米国側から新兵器に関する情報交換を行うために必要だと法整備を促されていたことも、公開文書から明らかになっている。

 

安倍首相は、60年前に祖父が目指した「日米新時代」の構想実現を目指しているように見える。私は、安倍首相がもっと明確に、自身が目指している方向を国民に伝えるべきだと思っている。日本が世界の中でどのように生きていくべきか、決断をしなければならない時が迫っているような気がするからだ。

 

先日、トランプ米国大統領が日米安保条約廃棄を示唆する発言をしたという。

 

発端はブルームバーグ通信の「トランプ大統領が日米安保条約破棄する可能性についての考えを側近に漏らしていた」という6/25の報道。

 

その後、6/26にはトランプ大統領自らがFOXビジネスのニュース番組の中で、「もし日本が攻撃されれば、我々は第3次世界大戦を戦う。我々の生命と財産をかけて」としたうえで、「我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要が全くない」「(日本は)その攻撃を、ソニーのテレビで見るだけだ」と批判したという。

 

そして、6/28の日米首脳会談では、日米安保については両首脳が同盟を一層強化する認識で一致したものの、6/29の記者会見でトランプ大統領は、日米安全保障条約について「不公平な合意だ。もし日本が攻撃されれば、私たちは日本のために戦う。米国が攻撃されても日本は戦う必要がない」と不満を表明。その上で「変えないといけないと伝えた」と述べ、日本に見直しを求めていることを明らかにした。ただ、破棄は「全く考えていない」と否定したとのことだ(日本経済新聞紙面より)。

 

報道などによると、日本との貿易交渉を有利に進めるための牽制、取引材料と見る向きが強く、また、米国第一主義を掲げるトランプ氏の国内支持者向けのアピールと取る向きもある。いずれにしても、現状で急速に大幅な路線変更がなされていく可能性は低く、過度に反応すべきでないという専門家の指摘は正しいものと思う。

 

その上で、たとえ急速な展開はないにしても、米国大統領が「日米安保改定」に言及したことには間違いない。

 

これまで、「日米安全保障体制を中核とする日米同盟は日本外交の基軸」とされ、一部少数勢力を除き、多くの国民が共有してきた。しかし、トランプ大統領の真意はともあれ、日米同盟、日米安保体制を含め、日本が世界の中でどのように生きていくのかを改めて考える時期が到来しているということを、この度のトランプ発言は示唆しているのではないだろうか。

 

私が日米関係を考える時、後藤田正晴氏が晩年、繰り返し述べておられたことを思い返すようにしている。以下、後藤田語録(私の後藤田正晴・巻末より抜粋)を紹介し、今回の視点・論点を終えたい。ほぼすべて共感している。日米同盟深化という現政権の方針とは異なる。徹底的に議論すべき時が到来しつつあると感じている。

 

日本国憲法について:「将来は9条を改正し、自衛権を明記することになるのかもしれない。そのときのことで一つ注文をつけるなら、海外では武力行使をしないことを同時に明示すべきであるということだ。これだけは最後の一線として守るべきだ。自衛のためならいいではないか、という反論が出てくるかもしれないが、侵略のため軍隊を持つ、海外へ出て行くと言う国はどこにもない。だから私は当然、拡大解釈で集団的自衛権は合憲とする考えにも賛成できない」

 

日本は戦争できない国:「ぼくは前から、日本は戦争できない国だと見ている。戦争して生き残れますか? これだけの高密度工業社会ですよ。これだけ兵器が発達した時代ですよ。核兵器と生物兵器と化学兵器。サイバー攻撃まで考えると、もう逃げる余地がない。国土も狭い。滅亡戦です」

 

日米安保条約について:「日米安保条約は冷戦時代の発想だ。冷戦時代はもう終わった。だから、日米安保体制の拡大・強化には反対だ。むしろ、軍事同盟から平和友好条約へ転換すべき時期が近づきつつあると思う」

 

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

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投票先が見当たらない

 

こさいたろうの視点・論点 0101

2019/07/04

 

 

投票先が見当たらない

 

 

この原稿を書いている今日、7月4日は参議院議員選挙の公示日です。山梨県は改選数1議席。自民党現職に野党統一候補が挑む、事実上の一騎打ちです。

 

「自民党が政権を担い続けるのはどうかと思うけれど、社会党で本当にいいのか」、僕が子どもの頃の日本政界の姿、いわゆる「55年体制」が亡霊のようによみがえってきているように僕には見えます。

 

自民党の候補者は県議会議員出身のたたき上げ。野党統一候補は東京・杉並区議出身の落下傘で、もともと社民党に所属していた女性です。

 

野党統一候補の市来さんの公式サイトを見ると、忍野村で福島の子どもたちのキャンプをやったことがあり、その時に山梨の人の人情に触れた、という主旨の記載がありました。なぜこの人なのか、何をやってきたのか、公式サイトのみならず、いろいろググってみましたが、これというものは見当たりませんでした。ちなみに検索結果の多くは、「立憲民主党引き抜き、社民党激怒、結果無所属で」みたいなものばかりで。

 

批判を恐れず率直に言います。この方は、安倍自公政権を批判する以外、何ができるのでしょうか。批判するだけにも能力が求められますが、どうなのでしょうか。短い選挙戦を通じて、山梨県民に伝えてほしいと思います。

 

そこで、立候補者のホームページを比較するとむしろ、自民党候補者の方に任せる気持ちになってしまうのは皮肉です。山梨県都留市の生まれ育ちで、幼児教育の専門家であり、県議会議員として地元に精通。さらには、同じ自民党でも安倍晋三さんとは流れの違う宏池会の所属。宏池会はリベラルに寛容でハト派的政策を志向しており、これら情報だけを見れば、若干の安心感すら覚えます。少なくとも、昔を引きずる旧来の左翼陣営よりは。

 

でも、安倍自公政権の政治を継続させていいかと言えば、それは違うとも思います。

 

安倍晋三さんが首相になってからすでに6年以上が経ちますが、目も当てられなかった民主党政権に代わり、金融政策や労働政策を通じて経済をある程度立て直した成果は率直に認めねばならない部分があるかとは思います。しかし、一方で、それ以上に看過できない問題点を積み重ねてきたと僕は捉えています。例えば、「モリカケ問題」への向き合い方は、政治家が責任を取ろうとしない姿を露呈してしまいました。そのなれの果ては、財務省の公文書改ざん・廃棄という民主主義の根幹を揺るがす問題の発覚となりました。これだけでも、大変な問題です。統計不正問題も同じ流れだと思います。また、政策的にも、特定秘密保護法に始まり、安全保障関連法、出入国管理法の改正など、これからの日本の針路を決定づけるような法律を、国民に十分な説明をせずに成立させてきました。こういう政権に「これからも白紙委任します」とは、僕には言えないです。

 

かといって、「アベ政治を許さない」以外に結合の旗印のない野党共闘も、共闘の上、勝利した場合どんな政治を形づくるのかの説明が十分でない限りは、簡単に「お任せします」とは言えません。

 

なので、そういう意志を選挙で示したいのですが、公示日当日、「投票先が見当たらない」というタイトルの通りの心境です。よほどのことがない限り、投票日まで環境が変わることはないのかな。投票するっていうのは、本当に難しく、責任が重いものだと改めて痛感しています。さて、どうしましょうか。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

 

 

 

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前を向いて生きていくということ

 

こさいたろうの視点・論点 0100

2019/06/13

 

前を向いて生きていくということ

 

想像すらできない悲惨な事件が後を絶ちません。50年近く生きてきた過去を思い返すと、時折、人の所業とは思えないような殺人事件が起きてしまいます。51歳の男が引き起こした川崎の無差別殺傷事件では、何の罪もない少女と保護者の方が犠牲になりました。

 

そして、この事件も遠因となり、今度は練馬で、父が44歳の息子を殺すという事件が起きました。川崎の事件を見て、同じように何の罪もない子どもを息子が殺してしまうかもしれないと、メッタ刺しにしたそうです。

 

この二つの事件に共通するのは、引きこもり状態にある中年男性が関わる事件だということです。そして、自分と同じような年代の男性ということになります。

 

殺人を犯した51歳の男を許すことはもちろんできませんし、父に殺された44歳の男も親に暴力をふるい続けていたようで、もし事実ならそれも許されることではありません。ただ、誤解を恐れず言えば、この男たちの心情の一端、少しだけわかってしまうような気がするのです。

 

思い通りいかない人生、いろいろやっては来たけれど、年齢を重ねてしまい、体力低下も肌で感じるようになり、老化も始まり、再挑戦への意欲も減退していく…。これはまさに、今の私自身が時折感じてしまう、偽らざる心境。彼らの心の中にも、私と同じような心境があったのではないか、と思ってしまうのです。

 

くり返しになりますが、やったことは絶対にダメです、許されません。引きこもりを続けることだって、私はいいとは思えません。ただ、どうしようもない思い、そういうものはあったんじゃないか、そう思うのです。

 

うまくいかぬ原因や理由を、自らの生まれ素性や親の育て方など、自分以外の何かに押し付けてしまう。恥ずかしいことですが、時にそんなことを考えてしまう自分がいます。言い訳をすれば、僕の場合は、「いやすべては自らの行いの結果である」と思い返してはいますが。今回の事件の二人の報道に接し、残念ながら似たような部分を持っているのではないかと考えています。もちろん、人を殺そうとか自分が死のうとかは決して思いませんが。

 

一方で、この二人と私の大きな違いは、私は引きこもることができないということだと思っています。これも正直に心情を吐露すると、引きこもっちゃいたいなー、と思うことはあります。でも、それでは生きていけないし、何より息子を育てることができません。明日の飯が食えなくなるまで、何とか考えて、何とか働き続けねばならないのです。それは当たり前のことなんだということ、本当に分かったのは本当に苦しくなった最近のような気がします。

 

私は25歳で港区議会議員に当選させてもらいました。もちろん自分でも頑張りました。ただ、実家で生活して家賃も飯の心配もなし、資金のも多くも父親が工面してくれ、知己の多い父親の力を相当借りての当選でした。その後の政治活動も、妻の両親である義父母に物心両面で多大な後援をもらうことで続けることができました。今もその遺産を食い潰して生きているとも言えます。引きこもってはいませんが、もたれ掛かって生きてきてしまいました。そういう意味では、中年になっても親にもたれかかっていると思われる引きこもりの人々と同根のところがあるのではないか、今、そんなふうに感じています。

 

私は今、息子が私のそばにいてくれることに感謝しています。とにかく、自分の歩んできた道を後悔したり、苦悩を続けたりしている暇はなく、何とか息子が育ち、自立し、社会に巣立っていくまで頑張るしかない、という環境を与えてくれています。彼が、自分の足で生きていけるように送りだしてやりたい、というのが唯一最大の望みです。私が親にしてもらったようなことは、私は彼にしてやれないから。そして、今思うのはむしろ、私がしてもらったようにしてはならないと思うに至っているのです。自分で道を切り拓ける人になってほしい。そう思っています。

 

本年3月の内閣府の調査によると、40-64歳の引きこもりは、推定61.3万人だということです。そのうちの70%が男性だそうです。私と同世代と言えます。これから人生の後半を迎える人たちです。考えねばならない日本社会の課題の一つであることに間違いありません。これからの日本は、このような人たちをどのように社会で包摂すべきか、という方向で解決策を模索する社会を目指すべきではないかと思っています。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

 

 

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衆院選を避ける野党って… なんなんだ…

 

こさいたろうの視点・論点 0099

2019/06/12

 

衆院選を避ける野党って… なんなんだ…

 

昨日今日の報道を見ますと、安倍首相は衆院解散を見送る方向だとの報道が一部流れていますが、どうでしょうか。僕はリアルタイムには記憶していませんが、1986年の中曽根首相による「死んだふり解散」の事例もあります。通常国会を閉じた直後に臨時国会を召集、野党の反発で本会議は開けないものの解散を強行しました。今年もまだ、日程的には十分に可能なシナリオです。一寸先は闇です。

 

七条解散とは。

 

日本国憲法第七条に基づき、内閣の助言と承認により天皇の国事行為として行われる衆議院の解散。ただしこれは通称であり、法令に明記された用語ではない。天皇の国事行為として行われるが、天皇は国政に関する権能を有しない(憲法第4条)ため解散権は内閣にあり、事実上、内閣の長である内閣総理大臣が解散権を握っている。つまり七条解散は、内閣総理大臣が国民に信を問う必要があると主体的に判断して解散するものと解釈されている。このため解散権は「内閣総理大臣の専権事項」「首相の伝家の宝刀」などといわれる。(日本大百科全書〈ニッポニカ〉より)

 

七条解散は違憲との意見もありますが、その論争は別の機会に譲るものとして、現実的には、解散するかしないかは、内閣を代表する首相の掌中にあると言えます。

 

今回問題にしたいのは、GW明け、衆議院解散の空気が沸き上がった際の野党の面々の言動。政権与党側が露骨に解散ムードをあおるのもえげつなく、品がないとは思いますが、さはさりながら、「待ってました」「受けて立つ」「政権交代のチャンス」というのが、本来の野党の姿ではないでしょうか。

 

政党というのは、自らの理念・政策に基づく政治が必要だと日々訴えているわけです。選挙は、それを国民に問う最大のチャンスです。選挙を通じて国民に問い、議席数を増やさなければ実現できないのです。だから、首相が解散権を行使することは、「望むところ」のはずではないのでしょうか。

 

ダブル選挙はおかしいとか今さら七条解散は違憲だとか批判するのは、「今やりたくないから」にしか見えません。内閣不信任決議案が提出は衆院解散の根拠たりえる」という菅官房長官の発言。ここまでの挑発もいかがかとは思いますが、浮足立つ野党幹部は見ていられません。こんなことでバタバタする姿を見せる面々に一国の舵取りを任せるわけにはいかない、となってしまうのはやむを得ないです。

 

安倍首相が「悪夢のような民主党政権に戻すな」とことあるごとに叫び続けるのは、正直に言って「とても気分の悪い」ものですが、こんな野党の姿を見せつけられると、さらにそんな姿を露呈させているのが民主党政権の中枢にいた人たちということが映像で流れると、絶望的な気分に陥ってしまうのは私だけではないと思うのですが、いかがでしょうか。

 

野党統一候補、潰しあわない、まずは安倍政権打倒、こんなことばかり言っているから、停滞する局面を打開することができないのだと思います。小選挙区的思考の弊害であり、限界です。自民党がダメだから、その時はもう一方の受け皿に、という考え方。これでは、受け皿が何者かが厳しく問われないのです。現状で考えると、

 

例えば、野党統一候補。立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党などが共同して候補者を立てるわけです。仮に当選したとして、この人はどんな政治をするのか、どこを向いて政治に携わるのか、これらの政党はどんな国づくりを目指すのか、僕には全く見えませんし、希望をもって、安心して任せることはどうしてもできませんね。

 

ただ、それでも選挙はやるべきだと思います。現時点での国民の意志表示、できる限りすべきだと思います。

 

近頃、小沢一郎氏は「(今夏に衆参同日選挙が行われた場合)立憲民主党も壊滅的になる。このままの状況なら野党が立ち直れないくらいの壊滅的敗北になる」と言いました。その通りだと思います。でも、今の野党がその責務を果たすには、ズタボロに惨敗し、壊滅的打撃を受けることだと僕は考えています。そして、「昔の名前で出ています」的な責任を取らない野党幹部の総退陣、総取り替えを断行することで、新しい政治が芽吹くと思うのです。

 

晩秋に草木が枯れ、翌春に新たな芽吹きが生まれるが如く…

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

 

 

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親離れ・子離れ

 

こさいたろうの視点・論点 0098

2019/05/24

 

親離れ・子離れ

 

どちらかというと子離れができていません。息子が離れ、一人になるその日がこわくなったりします。偽らざる本音です。一方、息子は着実に親離れをしつつあります。まだ中一、甘えてくる瞬間もありますが、それは着実に減ってきています。同時に、反発する瞬間が増えてきています。健全だと感じています。

 

先日の土曜日、僕は朝から農業研修に出かけました。息子は午前中は家で過ごし、午後からテニスの練習に一人自転車で出かけました。それがどうしたの、と言われそうですが、田舎で暮らす我が家では、おそらく初めての出来事でした。説明が難しいのですが、これまでは、息子の予定があれば父が同行、父の予定があれば息子が同行、ほとんどの場面において一緒に行動していました。これまでは一人で留守番を嫌う息子もそれを求めたし、まだ息子を一人で置いておくには幼いと思う父もいました。都会の人から見れば過保護に見えるかもしれませんが、うら寂しい田舎の偽らざる実情です。だから、父子がそれぞれで動くということは、生活環境の大転換でした。

 

そんな大転換を受けて、これからは息子の自主・自立により任せていこうと思った矢先、翌朝は自分で起きることができず起こされる羽目に。息子、「起こされなきゃ自分で起きたんだ」、なんて生意気を言うので、父はブチ切れる。夕方、仲直りする。そんな一進一退の日々なんです。

 

東京の先輩に言われましたが、親の都合で田舎に連れていかれ、親の都合で父子生活となり、親の都合で貧乏暮らし、息子はかわいそうだよ、と。その通りなんですよね。そんな中で、実は息子、よく頑張ってるんです。ダラダラするところもあるし、片付けも、手伝いもなかなかしないけれど、楽しい毎日を送ろうと、日々過ごしています。優しく接しなきゃダメですね。

 

実は、僕は父親と生活した経験がありません。だから、脳みそに参考にすべき、あるいは反面教師にすべき父親像がインプットされていません。すべて手探りです。さらに、母親役もだましだましやっているようなありさまで。子どもにとって何が幸せなのか、大人になっていくために、これからの中高時代、どんな家庭が必要なのか、まさに暗中模索です。そのような中で、これも多くの人生の先輩たちに言われる言葉ですが、「とにかく働け」と。この言葉を忘れてはならない、と思っています。

 

「小斉太郎の視点・論点」的に〆させて頂きますと、離婚の割合も高まり、ひとり親での子育ても珍しくなくなってきている今、日本の将来を託す子どもを育てるために必要な家庭環境・生活環境・地域環境はどんなものか、最低限何が必要なのか、社会全体で考えていく必要があるのだと思います。

 

母子二人で暮らしていた僕は、実はサザエさんのような家庭に憧れがあったように思います。地域に根差さぬ家で育った僕は、地域社会への憧れもあったように思います。でも、結局は父子二人で縁なき土地で暮らすことになり、今に至っています。今から「サザエさんの家」は無理ですが、多少は地域に根ざして生きていこうとは思っています。子どもクラブ、後継者会、ソフトボール…、あ、結構やってるか(笑)

 

この先どうなることなのか、道なき道を歩んでみます。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

     

 

 

 

 

 

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政治家は本音で議論せよ

 

こさいたろうの視点・論点 0097

2019/05/23

 

政治家は本音で議論せよ

 

丸山議員は、戦争を知らない世代。僕も同じだ。全く体験・経験がない。かたや、丸山議員に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と強い口調で問われた大塚団長は、御年89歳とのこと。戦争を体験し、戦争によって故郷を奪われた人である。このことに思いを致せない者が国会議員であっていいはずがないのは当然だが、彼の発言内容に違和感を感じない人々が、実はかなりいるのではないか、と思っている。

 

丸山議員が所属していた日本維新の会は、事の重大さを察知し、素早く除名処分とし、与野党に辞職勧告決議案の提出を呼び掛けた。でも、これは、統一地方選挙で息を吹き返した党勢を失速させないようにするため、にも見える。僕の過去の経験からみると、大阪維新系に集まる人々は、程度の差はあれど、丸山議員と同じように右傾の人々が多い。発言の内容を真に問題視しているのか、極めて疑問だ。安倍首相を支持する一部右寄りの人々とも重なる。

 

丸山議員は、酔っ払っていつも思っていることを言ったのだと思うが、思っているけど言わない、というのも相当罪深い。こういう問題を受けて僕がいつも思うのは、日本の政治家と言われる人たちは、選挙を恐れず、そろそろ本音でものをいうべきではないか、ということ。自らが思う日本の針路を明確に示すべきだ。国会議員に憲法擁護義務はあるものの、それをもって本音を隠されてはかなわない。本音を聞いて、判断は、主権者たる国民がする。変に隠したり、調子を合わせたりするから、訳が分からなくなる。丸山氏は、酒を飲まないで言えばよかったのだ。

 

僕はこう思う。議員であり続けるために、権力者の一角に居残るために、多くの政治家は本音を隠していると。この傾向、与党自民党の中にも横行しているような気がする。これは、小選挙区制度の弊害でもある。

 

日本が進むべき道、それぞれが本音を語り、大いに議論し、たたかわせる時が来ていると思う。

 

多数の方の意見とは異なるかもしれないが、丸山穂高氏に議員の立場を与え続けるかどうかは、主権者が判断すべきと考えている。誤解を恐れずに言えば、発言の内容をもって多数で辞職を促すことは、民主主義の観点から適切ではない。その上で、丸山議員が真に謝罪するのであれば、自ら身を処すべき、議員を辞めるべきとも思う。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

 

 

 

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「上級国民」糾弾の世情を見過ごしてはならない

 

こさいたろうの視点・論点 0096

2019/05/22

 

「上級国民」糾弾の世情を見過ごしてはならない

 

池袋の高齢者ドライバーによる交通事故を受けて、加害者とみられる飯塚幸三氏が逮捕されないのは「上級国民」だからだと、ネット上で流布、拡散していて、収束しない。実際のところ、「上級国民だから逮捕されない」ということはないのだとは思うが、今生きている社会について「もしかするとそういうことがありうるかもしれない」と、多くの国民が感じていることをさらけ出したともいえる。この反応、僕には意外には感じない。社会が閉塞に向かっていることが大きく影響していると感じる。

 

例えば、社会のかじを取る政治の世界。権力を持つ者、それに近い者、そのほとんどが二世、三世、さらには四世もいるような世襲政治家だ。安倍晋三総理、麻生太郎副総理をはじめ、ポスト安倍と呼ばれる岸田氏、河野氏、石破氏もみんな世襲議員。生まれ素性によって将来が決定づけられるのは、中世への回帰ともいえる。

 

さらに、その政治の世界では、権力に近いものが優遇されているのではないかという疑念を払拭できずにいる。というより、払拭する気もない、という方が正しいかもしれない。森友・加計問題も真相は藪の中でうやむやになっているし、小渕優子経産相(当時)の政治資金収支報告書をめぐる疑惑や、甘利明経済再生担当相(当時)のあっせん利得疑惑も、真相は解明されずに終わった。そういえば小渕さんも二世だ。僕は懐疑的だが、このような事件ももしかして「シロ」なのかもしれない。ただ、こんな時代だからこそ時の権力者は、自ら率先して疑念を晴らす努力をすべきであるが、現実の対応は逆に見える。権力を行使して、あるいはそれを忖度して、うやむやにしている印象を与えているのである。

 

かなり脱線してしまったが、このような時代背景の中で、エリート官僚から天下り、渡り、そして叙勲まで受けた人物は死亡事故を起こしても不問に付されるのか、という怒りが爆発しても無理はないように感じるのである。実際は、制度の運用上逮捕に至っていないものと思われるが、「上級国民だから忖度されている」との疑念を与えないような、厳格な対処が必要だ。

 

そして、どうしてこのような閉塞に向かう社会になってしまったのか、いま一度しっかり考える必要がある。これからは、社会を改めて見直し、生まれ素性や学歴ではなく、能力が重視される社会をより志向すべきだし、努力したものが報われる仕組みをしっかり作る必要がある。さらには、社会の多様性を可能な限り許容する社会を目指すべきだと考える。残念ながら、今の自民党政権はこのような考え方と逆ベクトルと言わざるを得ない。

 

元エリート官僚の交通事故に端を発した「上級国民」糾弾の世論、口汚い言動には賛同できないものの、そのような機運が生まれる社会の現状から目を背けてはならない。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

 

 

 

 

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「車を運転しなくても生活に支障がない社会」は作れるのだろうか

 

こさいたろうの視点・論点 0095

2019/05/21

 

「車を運転しなくても生活に支障がない社会」は作れるのだろうか

 

高齢者ドライバーによる痛ましい交通事故が後を絶たない。池袋で起きた母子死亡の交通事故の後、高齢者の運転免許証自主返納数が増加しているようだ。車を運転しなくても生活に支障がない高齢者の方々には、ぜひ車の運転を卒業してもらうべきだと思う。これだけ高齢者ドライバーによる事故が頻発している現状を考えると、やむを得ない。高齢者の方々自身にとっても、人生の晩年に人殺しとなってしまうリスクを負うべきではないはずだ。

 

ただ、「車を運転しなくても生活に支障がない」というところが問題となる。僕のように田舎に住んでいると、平日の昼間、車を運転している人のほとんどが高齢者と言っても言い過ぎではない。

 

運転している高齢者は二種類に大別できる気がする。一つは、もともと地元の人で、農作業やら通勤やら、仕事に車を使っている人たち。もう一つは、定年後に移住してきたような方々で買い物などの生活の足に浸かっている感じの人たち。それぞれ生活に欠かせない「足」ということになる。

 

さらに、運転スタイルも二つに大別できる気がする。一つは、ものすごく安全運転、実際はゆっくり過ぎて逆に危険か、というような人たち。もう一つは、自信満々、スピードも結構だして傍若無人といった運転の人たち。正直、どちらのパターンであっても、「大丈夫だろうか」と思わされることが少なからずある。それでも、生活の「足」なのだ。

 

「明日は我が身」とまではいかないが、遠くない将来、僕もこのように言われる年齢に必ずなる。現在の居住地に住み続け、田畑の世話も続けるということになれば、車の運転をやめるわけにはいかなくなる。やめろと言われれば、買い物に行くのもままならず、仕事も大方終わりにしなさいと宣告されるに等しい。

 

この田舎で、今の高齢者に、こんな宣告ができるだろうか。かなり厳しいものがある。でも、私が高齢者の仲間になるころまでには、解決しなければならない問題であることは間違いない。限界集落、家族のあり方の変化、人口減少、超高齢化、さらには生活の格差の広がりすらも、深く関わってくるはずだ。

 

日本が目指すべき社会の姿を、政治家は掲げ、議論し、主権者たる国民が決定しなければならない時が、まさに近づいているのではないだろうか。高齢者の自動車の運転をどうすべきかは、こういう大きな社会ビジョンの中に位置づけられるべきだと思う。

 

現時点で、僕が考えるビジョンの柱の一つは「助け合うこと」ではないかと思っている。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

 

 

 

 

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10連休、これでよかったのか?

 

こさいたろうの視点・論点 0094

2019/04/30

 

 

10連休、これでよかったのか?

 

 

いよいよ、今日で「平成」が終わります。30年前、昭和が終わり平成となった日、当時19歳。自宅マンションで報道番組にくぎ付けになっていたことを思い出します。日本はバブル経済真っ只中(というのは後で実感することとなりますが)、東欧諸国の民衆革命が進行しつつあり、ソ連はペレストロイカで冷戦終結の期待も高まっていた、そんな時代でした。政治には全く疎い若造であった私も、昭和天皇の崩御、昭和という時代の終焉を体験することとなり、なぜだか興奮を感じたことを覚えています。

 

あれから30年。個人的には、全く想像もしていなかった政治の道に足を踏み入れ、開かれた政治、官から民へ、行政改革の実現などに向けて、自分なりに全力を傾注してきました。そして、力尽きて今に至ります。平成から令和へ。若い時のように興奮はありません。これは年齢によるものかもしれませんし、今上天皇が生前退位を決断され、あらかじめわかっているからかもしれません。ただ、最も大きな理由は、新たな時代に明るい希望を見出しにくいからなのかもしれません。

 

平成という時代、日本は、世界はどうだったか。これは様々なメディアで様々な解説がなされています。今は、それらにお任せしたいと思いますが、いずれ私の分析もお届けしたいと思います。

 

さて、今上天皇退位が4月30日、新天皇即位が5月1日と決まり、意図したものかどうかはわかりませんが、ゴールデンウィークと重ねられ、特別に「10連休」が設定されました。まあ、意図されたものなのでしょう。さらに付言すれば、統一地方選挙直後の設定も意図的ではないかと勘繰ってしまいます。改元をお祭り騒ぎにしてしまい、いろいろな懸案を見えにくくさせてしまうというか。勘ぐりすぎかもしれませんが、国民主権の憲法下、内閣が決める訳なので。なぜこの日だったのか、しっかりと情報公開し、説明責任を果たしてほしいものです。

 

さはさりながら、かくして、史上初の10連休に突入しています。父子家庭の我が家、中一の息子がずっと家にいます。三食の飯炊きが必要です。はっきり言って大変です。小さい子のいる家庭は、たぶんもっと大変です。そして、私は家で仕事、GW明けからの野菜の出荷に向けて準備が忙しく、旅行にも行けません。周辺は観光地なので、車の量は平日の何倍にも増え、普通のスーパーもBBQの買い出し客などで大混雑、なるべく外出しない方が賢明な状況です。

 

そんな中、日曜日のテレビ、TBSの報道特集をたまたま久しぶりに見ました。「10連休は歓迎されているのか」という特集をやっていました。私も同感の部分がたくさんありました。実際に10日間休める人は、全体のおよそ3割とも言われているそうです。国民の多くが正規雇用だった昭和の時代は遠く過ぎ去っていて、今や非正規雇用の働き方、請負や個人事業の方など、働き方が多様になっているわけです。時給や日給、日割で給与や報酬をもらっている人は、死活問題だそうです。それはそうですよね。

 

10連休による経済効果ももちろんあるそうですが、一部の人たちへのしわ寄せも確実にあります。みんなが恩恵を受けられるわけではない、ということは忘れないでおきたいと思います。さらに、ある専門家は、休める人と休めない人、休みたくないのに休まねばならない人、それらの人たちの間に心理的な格差が生じることも懸念すべきだと指摘していました。その通りだと思います。

 

かつて、政治の現場にいた時、役人の人たちの生活がさまざまな政策立案のベースになっていると感じることがありました。つまり、正規雇用、法令通りの休暇等がきちんととれるなどの環境がベースになっているということ。議員も、長くやればやるほど、そちらが当たり前になるような雰囲気もありました。役人の人たちはとても恵まれた環境にいるんだよ、と指摘すべきなのが議員なのに、と当時思っていました。今回の10連休の設定も、そんなことが背景にあるような気がします。

 

もしかすると、今上天皇の退位、新天皇の即位は、5月31日・6月1日がよかったのではないかと、今になって思います。統一地方選挙からも遠く、参院選にもある程度の期間を確保できるので、穏やかな改元を迎えることができたのではないでしょうか。また、この両日のみを祝日とすれば、国民の日常活動に大きな影響を及ぼさずに済んだのではないでしょうか。そんなふうに感じます。

 

連休明けの5月7日(火)、多くの人々が急に活動し始めます。金融機関関係、株式市場、コンピュータシステム、などなど。大きな混乱がないように祈るばかりです。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

〈お詫びと訂正〉

先に発行致しました第90号におきまして、「今上天皇」と記載すべきところを「昭和天皇」と誤って記載してしまいました。この場を借りましてお詫び申し上げますとともに、訂正させて頂きます。

 

 

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統一地方選挙の結果を見ての雑感

 

こさいたろうの視点・論点 0093

2019/04/29 その2

 

 

統一地方選挙の結果を見ての雑感

 

 

今年は天皇陛下のご退位、新天皇の即位、改元があり、人々の関心はすでにそちらに移っているわけですが、ついこの間まで、全国で統一地方選挙が行われていました。少し出遅れてしまいましたが、統一地方選挙のコサイ雑感を記してみたいと思います。頭に思い浮かんだ順に書いてみます。

 

☆ マック赤坂氏の当選:私、港区議会議員をしていたので、とても驚きました。この方が初めて選挙に出たのが港区議選、私の4回目の港区議選と重なっていました。記憶では100票獲得されていたと思います。当時赤坂のパチンコ屋の前に超高級外車が停まっていて、それがマック赤坂さんの街頭演説用自動車だったことに驚いたことを覚えています。確認はしませんでしたが、地元の人の話だと、なんとパチンコ屋にいると言ってました(笑)ただ、それからたくさんの選挙に出る中で、本気度が変化してきたようにお見受けしていました。以前、ローカル紙の記者さんが「マック赤坂さんは実は理念・政策、しっかりしているよ」と言っていたのを思い出します。知名度が高まった中での当選とは思いますが、ご活躍を期待しています。

 

☆ 当選者の傾向:強固な地盤がある。これには2パターンあって、地域の相談事をまめに解決してきたような古いタイプと、役所へのチェック機能を果たす役割を果たし、情報発信を続けてきたタイプ。いずれも地方議会には必要で、有権者の良識ある判断が示されているのだと思います。また、今回は、若さ・女性などの際立った特徴がある、この条件もいつも以上に結果に影響したように見えました。どちらかの候補が強く、あまりエッジがきいていない候補は埋没、という傾向があったように分析しています。

 

☆ 自民党の底力:主に東京の区議選の結果を見ての感想ですが、自民党は高支持率を背景に候補者を大量擁立していたように見えます。なので、区によっては当落線上で自民党候補者がたくさん落選という結果が目につきました。ただ、これは自民党が弱いのではなく、強い証拠かと思います。強烈な党内競争を促した結果と見ます。中堅から古参で票固めの活動を怠っていたような人は容赦なく落選しているように見受けられましたが、これは議席数が減ったのではなく、頑張った新人と入れ替わったということになります。でも、本当に自民党一強でいいのか、私たちは十分に考える必要があると思います。

 

☆ 大阪での維新の存在:大阪では、維新の会が大きな支持を得て躍進したようです。私自身、国政での維新の会の立ち位置や、昔の顔で出ているような幹部議員を見ると、どうしても信頼を置くことはできないのですが、大阪ローカルでは受け止められ方が全く違うようです。これまでは、橋下個人商店と揶揄されていましたが、大阪都構想の実現を通して大阪を変える、という主張が、地道な地域活動を通じて浸透してきているのだと感じました。その裏側には、古い自民党や既得権を持った役所がいかに悪かったかという背景もあると思います。主義・主張は別にして、地道に、粘り強く地域に浸透することで政治を変える、という意味では、大いに学ぶべきところがあるように思います。

 

☆ 立憲民主の堅調さと共産党の不振:こちらも主に東京を中心に見た限りですが、立憲民主党が新鮮さのある候補者を並べて堅調に議席を獲得した一方、共産党は接戦をことごとく落としているように見受けられました。候補者を出しすぎた可能性もありますが、それは行けると踏んで擁立したものと思います。さらに、組織政党には有利な低投票率も生かせなかったことになります。共産党はこれまで、主に所得の低い有権者の支持をめぐって公明党と票の取り合いをしていました。これに加え今回は、反安倍政権・反権力の票を立憲民主党と取り合う構図になったものと思われます。前回の衆院選でも同様の傾向がありました。一方で、大阪での衆院補選での野党統一候補も思ったほど票が伸びませんでした。つまり、今の野党が取れる票数には限界があり、いくら野党が集まっても広がりはもたないことを表しているのではないでしょうか。

 

☆ ほぼ史上最低の低投票率:前半の知事選以外、すべての選挙で史上最低の投票率となったようです。知事選もこれまでで二番目に悪いとのことでした。そんな中でも、コツコツまじめに取り組む政治家、行政と健全な緊張関係を保ち監視機能の役割を果たしている政治家が当選している地方議会も多く、有権者の見識を表しているものと思います。しかし、俯瞰してみると、概ね現状維持を求める結果になっているように見えます。これは、低投票率がもたらしている結果という側面が極めて大きいと思います。ふだん、投票に行かない人が投票行動に動けば、大きく政治を変えられる可能性が高まります。ただ、ここまで書いて、うつむいてしまう自分もいます。一昨年の「都民ファースト」旋風で何か政治は変わったのか、と。ただ、それでも、可能性を求めて主権者は行動すべきだと思っています。何ができるか、考え続けていきたいと思います。

 

小斉太郎

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

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志を貫く議員の必要性

 

こさいたろうの視点・論点 0092

2019/04/29

 

志を貫く議員の必要性

 

統一地方選挙の後半戦が終わり、早一週間が経ちます。この選挙で当選した皆さんは、新たな元号、令和の始まりの日に任期が始まることになります。旧弊を打ち破り、新たな時代が明るく拓ける、そんな政治を実現してほしいと願っています。

 

実は、私の知り合いも各地で立候補していました。遠い山里にいる私は何もできなかったわけですが、懸命に挑戦を続けていた同志たちに向けて、SNS上での応援演説を贈りました。統一地方選挙を横目で見ていて、私が感じていたこと、求められる議員増などについても触れましたので、今回はその文を掲載致します。

 

(以下、小斉太郎応援投稿引用〈一部要約〉)

 

おはようございます。

 

実は、僕の盟友が選挙を戦っています。僕は何もできず、あっという間に選挙戦最終日になってしまいました。☆ 佐藤さん(東久留米市議候補)☆ 古堺さん(豊島区議候補)。

 

かつて、僕が国政選挙に挑戦しているころ、彼らは僕の「志」に共鳴してくれて、誰に頼まれるわけでもなく、自然に集まってくれました。今は政治の一線から離れた江東区の伊藤嘉浩君も含めて三名。高田馬場の焼き鳥屋で四名の同志が結成されました。

 

当時所属していた政党には、有名人の政治家やお金を持った政治家も結構いて、多くの地方議員はそういう方になびいていました。地方議員は誰かの応援をするとき、自分のプラスになるかどうか、次の選挙での再選に役に立つかどうかを多かれ少なかれ計算するもの。人間ですから、一概にすべてを否定はできません。僕もやっていたから多少わかります。全くなかったといえばウソになります。

 

でも、彼らは違いました。「志」を最優先させて、僕のところに結集してくれました。これは、できそうでいて、なかなかできないことです。何せ、無名で、カネが極度にない僕のところに来ても、メリットはほとんどありませんから。ちなみに、先にさいたま市議に当選した土井裕之君、そして、いま挑戦している ☆ 石川さん(清瀬市議候補)も「志」を優先させる政治家です。

 

僕は、こういう同志とともに政治家として行動できたことを誇りに思っています。彼らの姿から学び、彼らの姿を見て自らの初心を確認し、道を誤っていないか自らに問いかけながら生きてきました。本当に幸せな政治家としての人生でした。

 

僕がかつて地方議員だったころ、「違うとは思うんだけど、党で決まったことだから、党に従う」とか「与党だから役所の提案には反対できないんだよね、ちょっと賛同できないところもあるけど」とか、そんな声をしょっちゅう耳にしました。「なんなんだ」と、当時若い僕は思いました。何のために議会に送り込んでもらっているのか、と。

 

今は、僕が政治に携わっているころよりもさらに、こんな状況が深まってしまっているように見えます。選挙に当選するために上司の顔色を窺って、言われたとおりにふるまう、というような傾向。改革を志向した政党から政治に足を踏み入れながら、大政党に、権力のあるところに臆面もなく鞍替えしていく人たち。たくさん見てきました。

 

でも、こんな時だからこそ、僕は「志」を貫く議員が必要だと思うのです。

 

選挙を通じて自らの政治姿勢を明確にし、それに基づく政策を具体的に示し、当選後も自らの行動を主権者に説明する、こういう議員が「志」を貫く議員だと僕は思います。所属政党の都合や、影響力の大きい大支援者の都合や、時には自らの都合によって、選挙で言っていたこととは違う行動をするような議員ではなく、ということです。

 

また、主権者にとって、志に共感できる、信頼できる政治家を、一人でも議会に送り込んでおくことは重要なことだと確信しています。

 

一人では何もできないといわれることがあります。確かにそういう側面もあります。でも、一人だからできること、言えることも結構多くあります。そして、一人であっても言論によって共感を求め、実現できることもあります。僕自身が体現者ですので、間違いありません。長いものにまかれない一人の議員の存在が、議会を活性化させることも間違いありません。

 

また、重大な判断が迫られるような際、選挙で約束した姿勢を曲げることなく行動できる議員が議会にいることは、主権者にとって何よりも大切なことだと思います。

 

この6年ほどは、総理大臣も変わらず、ある意味「安定した」政治が続いています。でも、その裏側では、その弊害も多く目にするようになってきました。権力は永遠ではありません。必ず変化の時がやってくるのだと思います。

 

その変化の時代に、所属政党やボスから借りてきた「借りものの志」を振りかざす政治家ではなく、自らの内側から形成された「自分自身の志」を持った政治家が、再び政治の舞台の中心で活躍するものと確信しています。

 

何もできない僕からの、応援演説でした。ご清聴、と言いますか、お読み頂き、誠にありがとうございます。

 

小斉太郎

 

※ なお、佐藤さん、古堺さん、石川さんは、皆さん当選を果たしました。今後の活躍を期待しています。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

※ 今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。

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Kosai Farm 生産者インタビュー 2019/04

いつもお世話になり、ありがとうございます。

今年も5月より「野菜たまご定期便」のお届けを始めます。生産者の皆さんの準備も着々と進んでいます。赤ちゃんのような小さな苗が、寒さに耐えながら、少しずつ大きくなってきています。自然の恵みをその体にたっぷり蓄えているようです。生産者の皆さんへのインタビューをお読み頂きながら、春の恵みの到着をお楽しみになさって頂ければ嬉しいです。

【インタビューの質問内容】

① まず、5月に出てきそうな野菜を教えて下さい

② 今年、新しくやってみたいことはありますか

③ 農業以外での楽しみなどがあれば教えて下さい

 

竹内さん(3/28 インタビュー)

① レタスやラディッシュ、サラダほうれん草、青梗菜から、スティックセニョール・キャベツなどに…

② 去年、熱波でうまく育たなかった「きゅうり」の栽培。今年は必ずリベンジしようと思っています。

③ オフシーズンのゴルフを楽しみに、今年は畑を増やし、収穫を増やし、稼ぐ、という本業に集中です。

 

徳光さん(3/29インタビュー)

① (引き続き平飼いたまごをお願いします)

② 畜産を知ってもらうへ。動物と触れて過ごす「農場キャンプ」を開催すべく、準備中です!

③ 「甲斐駒フィルムクラブ」を始めました。世代や地域を超えてカルチャーの話をしようと活動中です。

 

杉浦さん(3/29 インタビュー)

① 小松菜、かぶ、ルッコラなどから、レタスやキャベツに移っていくという感じです

② まずは、微生物に動いてもらう土作りで収穫量を上げ、将来は畑でガーデンキッチンを夢見てます。

③ 子どもと過ごす時間ができて、トランプをしたり…。今は子供の成長を見るのが一番楽しいです。

 

畑山さん(3/29 インタビュー)

① 葉付きのミニ人参やミニ大根からお出しできる予定です。からし菜やマスタードリーフなども…。

② 常に生産性を上げることを意識しています。それは、稼ぎたいということではなく、自由な時間、学ぶ時間、教える時間を増やしたいので。(やりたいこと、目指していること、たくさん聞いたので、また改めて、まとめてお伝えしようと思います)

③ 小4の息子と釣りに行くこと。アブラハヤはいくらでも釣れます。うまいアマゴも、たまに(笑)

農夫 こさいたろう だより 2019/04/01 –

野菜たまご定期便!今年も「5月」よりお届け開始します (^^)/

これまでもご案内致しておりました通り、今年も5月より「野菜たまご定期便」をお届け致します。生産者の皆さんも、春野菜の準備に余念がありません。生産者の皆さんの近況インタビュー〈別紙または裏面〉もぜひお読み下さい。すでにご予約頂いている皆様、誠にありがとうございます。また、ご検討中の方におかれましては、本年も新鮮でおいしい野菜・たまごをお送り致しますので、ぜひともご注文下さい。心よりお待ちしております。

 

北巨摩〈きたこま〉の今

Kosai Farm 野菜たまご定期便に野菜を提供してくれている生産者の皆さん、厳重な寒さ除けをしながら、種を播き、苗を育てています。

一部、準備風景をご紹介します。上の段は竹内さんの、左、青梗菜、右、トマト・スティックセニョール。下の段は畑山さんの、左、にんじん、右、小松菜など。

 

 

寒さに耐え、本当に少しずつ、大きくなっています。寒さは野菜を甘くします。楽しみです。

実は、これを書いている4月1日の夜は、雪が降り、うっすら積もりました。春が来たなぁ、と思ったらそんな感じで。山里では、一進一退しながら、少しずつ春はやってきます。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

 

日本の学校制度は今のままでいいのか

 

こさいたろうの視点・論点 0091

2019/04/11

 

 

日本の学校制度は今のままでいいのか

 

 

今年の春は、桜の開花の後、全国的に相当な冷え込みで、入学式まで桜が残っていた地域も多かったようです。皆さんお住まいの地域はいかがでしたか。

 

桜舞う入学式は素敵だと思いますが、全国的には各学校の入学者数の減少に歯止めがかからないのが実情ではないでしょうか。

 

僕が港区で区議をしているころ、バブルの直後くらいですが、港区の人口が急減、子どもの数ももちろん急減し、小中学校の統廃合が全地域で行われました。

 

その後、数十年で、臨海部で高層住宅開発が急激に進み、都心回帰現象が加速。今度は学校が足りなくなるという皮肉な事態に。

 

これは港区だけでなく、中央区や江東区といった臨海部を持つ各区で同様の現象が生じました。

 

しかし、このような現象は、日本全国の中でごく一部ではないでしょうか。都会のごく一部。その他ほとんどは、子どもの数が減りすぎて途方に暮れているのだと思います。

 

都会でも有名な清里という観光地がありますが、この清里にある高根清里小学校がこの3月に閉校になったそうです。高根北小学校も閉校し、三校合併で高根東小学校に統合されたとのこと。地元民はわかりますが、超広大な学区域になります。

 

僕の住んでいる白州町というエリアにある白州小学校も、新入生は十数人と耳にしました。どこも同じような実情ではないかと思われます。生徒数が減ったから、統廃合を進めるという公立学校のありようで本当によいのでしょうか。

 

戦後、人口が急増し、子どもがたくさんいたころの教育基盤整備の発想から抜けきれない日本の教育界。いろいろな議論がなされているのかもしれませんが、僕にはそんな風にしか見えません。

 

全国・一斉・画一教育からの脱却。選べる教育。作れる学校。多様な教育を認め合える社会。こんなキーワードで教育を刷新することはできないでしょうか。

 

同じ思いを持った親が集まって学校を作るとか、ホームスクールを認めるとか、特別な才能を伸ばす学校を認めるとか、既存の学校のあり方にまったくとらわれず、制度設計すべき時が来ているような気がします。

 

急激に進む少子化に対応しきれずにいる中高年のノスタルジーに付き合う必要はないし、今の仕組みで生活している高等教育機関や学習塾・予備校業界に気を使う必要もない、日本の将来を考える時、僕はそう思います。

 

ピンチはチャンス、そんなふうにも感じます。具体的なアイデアは、また別の機会に書いてみたいと思っています。

 

     

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

※ 今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。

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