森喜朗という人

 

こさいたろうの視点・論点 0172

2021/02/09

 

森喜朗という人

 

会長の森喜朗さんは83歳だそうです。事務総長の武藤敏郎さんは77歳。元総理大臣と元財務事務次官。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のトップ2。政官のトップを極めた者が、引退後に再登場。それだけで、利権の匂いを感じずにはいられませんでした。そもそも、このような人事を許してきた日本国民にも少なからず責任があるように思います。

 

そして、森氏。相も変わらずといいますか、いつもの通りと言いますか、また酷い発言を世界に晒してしまいました。女性がたくさん会議に入っていると時間がかかる、と。海外では、性差別発言として一斉に非難報道がなされており、本当に恥ずかしい限りです。加えて、「コロナがどういう形であろうと必ずやる」発言も、海外では驚きをもって伝えられました。

 

日本人は、少なくとも森氏が首相だったころを知る世代の日本人は、森氏がこういうことを言う人物だということを知っているはずです。「子どもを一人もつくらない女性が、自由を謳歌し楽しんで年取って、税金で面倒見なさいっていうのは本当はおかしい(西日本新聞:2003年7月3日より)」などと発言している過去と何も変わっていません。

 

嘘を言っていないのだと思います。思っていることをそのまま口にしているのだと思います。日本を神の国、って言ったり、浅田真央選手に対して「あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね」って言ったり、「私はマスクをしないで最後まで頑張ろうと思うが、選手は気をつけてほしい」って言ったり。本音なんですよね。だから大問題なわけです。

 

森氏を会長にしたのは誰なのか。2014年1月、産経新聞には、「下村博文五輪担当相と日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長、東京都の秋山俊行副知事が都内で3者会談を行い要請を決め、森元首相が受諾した。」とあります。当時の安倍首相の意向も大きかったことでしょう。この立場の方々、今度はお辞め頂くように動くべきです。

 

ご自分ではお辞めにならない様子です。「皆さんが、邪魔だと言われれば、老害、粗大ごみになったのかもしれないから、そうしたら掃いてもらえればいいんじゃないですか」と会見で言い放ったようです。もう怖がらず、みんなで掃いて差し上げましょうよ、と思います。本音を言う森さんに、本音をお伝えすべきだと思います。

 

その上で、本当に東京五輪ができるのか、開催していいのか、開催するならそんな形がありうるのかも含めて、真面目に議論すべきだと思うのです。さらに、日本の偉い人の決め方を根本的に改めるべきだということを森さんは教えてくれているのだと思うべきです。ご老人でなく、脂の乗り切った働き盛りの世代が表舞台で活躍できる社会を日本でも作るべきです。

2021/2/4記

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

東京五輪、本当にやる?できる?

 

こさいたろうの視点・論点 0166

2020/12/23

 

東京五輪、本当にやる?できる?

 

僕はそもそも、2020年の東京五輪開催について積極的に賛成はしていませんでした。開催に賛成していないというよりも、招致活動を始めると聞いた時からモヤモヤしていました。一度落選後、再挑戦で開催決定。その時には「コンパクト五輪」がコンセプトで開催予算は7300億円だったのに、その後3兆円を超えるまでに膨れ上がっていきました。

 

明確な根拠があったわけではなく、後から言うのも気が引けますが、東京が再び五輪に手を上げると耳にした時から何となく予測できたことです。さらに言えば、開催決定後、大会組織委員会の会長に元首相・森喜朗氏、事務総長に元財務事務次官・武藤敏郎氏が就任した時点で、利権の匂いが一気に立ち込め、際限なき予算の膨張に進みました。

 

トップアスリートたちが集い、正々堂々と戦い、世界最高峰の技を競い合うというオリンピック、パラリンピック。青空が最もよく似合うわけですが、2020東京オリパラのトップ2は功成り名を遂げた二人のおじいさんで、再び表舞台に出てくるお歳でもなく、とても青空の下の清々しさが感じられないのは私だけでしょうか。

 

ただ、開催決定後は、ことさら「賛成でない」ことを口にすることはしないようになりました。政治家を離れ影響力も何もないということもありますが、そんなことよりむしろ、決まったのだからそれならば、多くの人が胸を躍らせ、成功するに越したことはないと考えるようになっていました。しかし、大会半年前、今年の冬から新型コロナウイルスが世界中に蔓延してしまったのです。

 

3月、安倍首相とバッハIOC会長との電話会議により開催延期が決定され(これも少しおかしいのですが)、遅くとも2021年夏までに開催することになりました。その後、菅内閣もこの決定を踏襲。12月21日、菅首相は「来年の夏に人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として東京で五輪・パラリンピックを開催する」との決意を改めて示したとの報道がなされました。

 

来年の夏に打ち勝てるのか。僕の素朴な疑問です。世界中からアスリートやお客様を呼べるのか。その準備ができるのか。もしかすると劇的に環境が好転することがあるのかもしれませんが、それならその青写真を示すべきではないのか。そもそもこの言い方なら、打ち勝てなかった場合は開催しないのか。きちんと、丁寧に、日本国民のみならず全世界に向けて説明する必要があります。

 

新型コロナの蔓延で会食も移動もままならない現状では、国民の声に耳を傾け、五輪開催の可否、是非を再考するべきです。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)