自己都合の選挙制度変更

 

こさいたろうの視点・論点 0057

2018/07/18

 

 

自己都合の選挙制度変更

 

 

今日、参議院埼玉県選挙区の定数を2議席、比例区の定数を4議席増やし、比例区の中で政党が「特別枠」を自由に設置できる公職選挙法改正案が成立しました。来夏の参議院議員選挙から新制度が適用されることになります。

 

 

 

変更の背景は、第一に一票の格差の是正。議員一人当たりの有権者数が最も多い埼玉県選挙区の定数を増やすことで格差を縮める。これは理解できます。ただ、増やす分を比例代表の議席から減らすのが筋。

 

しかし、減らすどころか4議席増やすと。これが自民党の主眼。先の変更で、鳥取・島根、徳島・高知は2県で一人の議席しか配分されなくなりました。選出されなくなってしまう県の参院議員を救済、確保するための変更。

 

これを自民党の「自己都合」と言わずしてなんと言えばいいでしょうか。選挙制度は民主主義社会の土台ともいえます。できる限り民意を鏡のように反映させるべきです。

 

現時点で多数を形成している政党が、自らの都合がよいように選挙制度を変えてしまうこと、こんなことがまかり通っていい訳がありません。多くの人が気づかぬうちに権力が固定化されていく危険性を多分に孕んでいます。

 

自民党はどんどん変質しているように私には見えます。4割台の得票率で7割の議席を得てしまう衆院の小選挙区制度、一人区の割合が多くなってしまった参院の選挙制度、これらが影響しているように思います。

 

民意が正確に反映されない国会において、制度によって圧倒的な議席数を得た自民党は、白紙委任状を得たがごとく振舞い始めているように見えるのです。この度の選挙制度変更は、それをわかりやすく示しています。

 

確かに野党もだらしがない。何をやりたいのかわからない。どんな国を目指すのかもほとんど伝わらず、それなら安倍自民党にやってもらうしかない、という多くの国民の思いもわからなくはありません。

 

ただ、そう言っているうちに自民党は変質し、日本社会も変質し始めてしまっているのではないでしょうか。権力者の自己都合が優先されるようになり、権力が固定化し、権力者の変更がままならなくなることが最も危うい。

 

日本国憲法下、政治的権力は主権者たる国民から与えられるもの。国民から与えられた権力を今回のように使うならば、国民はこれからも権力を与え続けてよいかどうか真剣に考えるべきです。

 

たとえ野党がだらしなくても、現在の権力者に大きな問題があれば、それに退場を促すことの方が重要だと私は思います。だらしない野党を育てる責務も国民にはあると思います。

 

「奢れるものは久しからず、盛者必衰の理をあらわす」、平家物語の一節。今の時代、その引導を渡す力を持つのは、ひとえに国民において他はありません。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

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