唐突な「夏休み延長」

 

こさいたろうの視点・論点 0058

2018/07/26

 

唐突な「夏休み延長」

 

今年の日本列島の夏、大変な状況になっています。猛烈な雨と大災害、その後にやってきた猛烈な暑さ。地球の長い歴史を見れば気象に当たり前はなく、大きな変化の時を迎えているのかもしれません。

 

私たちの生活様式を見直し、地球温暖化を抑えていく努力はしていかねばならないと思いますが、温暖化だけに昨今の気象の変化の要因を求めていいのかとも思います。変化し続ける地球環境にどのように適応していくかも合わせて考えなければならないと思います。いずれにしても、私たちは自然に生かされている存在だということを忘れてはならないと私は常々考えています。

 

 

さて、この猛暑、酷暑を受け、菅官房長官が記者会見で次のようなことを明らかにしました。

 

菅義偉官房長官は24日午前の記者会見で、全国各地で記録的な猛暑が続いていることを受け、「小中学校に関する暑さ対策の一つとして夏休み期間の延長を検討すべきだ。総授業数を確保しながら、どのような工夫が可能なのか、文部科学省で検討する」と明らかにした。菅長官は「児童生徒の安全、健康を守るための猛暑対策は緊急の課題だ。学校へのクーラー設置を支援していく必要は当然ある」と指摘。財源に関しては「来年のこの時期に間に合うように責任を持って対応したい」と語った。(2018/07/24-12:32:時事通信)

 

クーラーの件はまた改めて論じたいと思うが、気になるのは夏休みを長くすべきだと官房長官が公式に述べている点。これまで現政権からそのような意向が示されたことはなかったのではないでしょうか。

 

むしろこれまでは、ゆとり教育からの転換と称して学習指導要領を改定するなどし、学校での教育時間を増やし、結果的に子どもたちの休みを削る方向にあったはずです。現に、公立学校の長期休暇は短縮される傾向だったと感じています。

 

想定を超える猛烈な暑さに全国が見舞われる中、子どもたちの健康を第一に考えていますよ、というアピールなのかもしれませんが、あまりに唐突で、国民の歓心を得たいようにしか見えません。これまでやっていることと全く整合性が取れないと感じるのは私だけでしょうか。

 

ものすごく暑くなってきたから、夏休みを長くします。全国一律でやります。安倍政権は皆さんのために、子どもたちのために頑張ってます。増やした授業時間の確保は何とか帳尻合わせるようにします。といった場当たり的な対応で本当にいいのでしょうか。私には、この官房長官会見の内容は、安倍政権、ひいては最近の劣化した政治を象徴しているように見えます。

 

子どもたちのために、夏休み(長期休暇)はどうあるべきなのか、「本質的」に考えることから始めなければならないと思うのです。

 

まずは、地方分権型社会を目指しているのであれば、学校が、地域が、保護者や地域社会と話し合い、決めていけばいいのだと思います。学校や地域によって環境に違いがあるはずで、みんな違っていいと私は思います。

 

その上で、子どもの長期休暇は、親への負担がとても大きいものです。一昔前、私が子どものころは、お父さんが働きに行ってお母さんが家事を担う、いわゆる標準世帯が一般的でした。夏休み制度はそんな環境の上に成り立っていたのではないでしょうか。

 

今は、共働き当たり前。むしろ、女性の社会参加が促され、それが標準になりつつあります。また、ひとり親家庭も増加。実際、私自身も、夏休みが終わる8月いっぱい、三度の食事をどうこなしていくか、喫緊の課題になっているのです。

 

さらに言えば、経済的な格差も影響してくると思います。比較的豊かな家庭では、学習塾に通わせる、体験型イベントに参加させるなど、夏休みだからこそできる教育方法も選択できると思います。しかし、そうでなければ、子どもは家にいるか、学童に毎日行かされるといった感じになってしまうのではないでしょうか。学童に毎日行くなら、学校に行くのと一緒です。

 

夏休みを長くするとか短くするとか言う前に、どうすれば子どもにとって意義深い長期休暇を与えられるのか、社会全体で考えるべき時に来ているのだと思うのです。

 

もちろん、一義的には親の責務があるとは思います。私自身も、時間をやりくりし、ない頭を絞り、自分の息子が少しでも楽しく、意味のある夏休みになるようにしてやろうとは思っています。

 

さはさりながら、日本の、そして世界の未来を担う子どもたちが個性を輝かせ羽ばたいていくためには、社会全体でその成長を支える環境も必要だと感じます。

 

猛暑に対応して夏休みを長くするなどと言い出す政府、その軽薄さだけを感じてしまうのです。皆さんはどのようにお考えになりますでしょうか。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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