安倍政権の終わり方

 

こさいたろうの視点・論点 0152

2020/08/27

 

安倍政権の終わり方

 

お盆明け、二週続けて、安倍首相は慶応大学病院に入った。追加検査などという理由付けがされていたが、体調がすぐれないことは確かなようだ。そして、8月28日(金)に記者会見を開き、自らの体調についても説明するとの報道がある。

 

実は、8月18日、政界裏情報に詳しい古い知人から、「8月28日に安倍総理辞職」というメールをもらっていた。その時は、相変わらずさまざまな怪情報が流れるものだなぁ、などと気にもしていなかったが、28日という日付がドンピシャで、改めて思い出した。注目している。

 

体の健康があってこそ心の健康があり、正しい判断、果敢な決断ができるはずだ。しかも、一国のトップリーダーである。安倍首相には、自らの病状と正面から向き合い、賢明な判断をされるよう求めたい。コロナ禍という未曽有の事態、首相の役割と責任は極めて重い。

 

しかし、冷静に考えてみると、首相の健康問題以前に、今の安倍首相が政権を担い続けるべきか否かを考えなければいけない事象は山ほどある。「体調が悪いからやめる」というのはある種の言い訳で、本来は「責任を取ってやめる」でなければならないと思う。そして、とるべき責任は、ありすぎる。

 

秋元司衆議院議員によるカジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件。事業参入の便宜を図るための贈収賄だ。本人は否定しているが、8月には裁判でうその証言をするよう働きかけた証人買収の容疑で再逮捕。金を渡した側はそれを認めており、外堀は埋まっている。

 

河井克行・案里夫妻による参議院議員選挙をめぐる買収事件。県議会議員や首長などに現金を配り、票の取りまとめなどを依頼した公職選挙法違反。本人たちは無罪を主張している。金は配ったが、票の取りまとめを依頼する趣旨ではないと。語るに落ちる、とはこのことではないか。配っていることを認めている。

 

直近の、この二つの事件、今は離党しているとはいえ、自民党の議員が引き起こしたものだ。昔なら、どちらか一つだけでも政権が吹き飛ぶ大事件であったはずだ。しかし、これらを理由とした安倍首相・自民党総裁への責任追及の声は全く聞こえてはこない。こんな世の中でよいのだろうか。

 

第二次安倍政権、連続在職2799日を超えて史上最長記録を更新中だ。さかのぼれば、党首が責任を取らねばならない事件はいくつも起きていた。公文書の改ざんもあったし、自民党議員の政治と金の不祥事もたくさんあったように記憶している。モリカケ問題もうやむやになってしまっている。

 

その都度、安倍首相は「責任を痛感」と述べるものの、感じるだけで身をもって「責任を取る」ということがなかった。そうこうしているうちに選挙が行われ、安倍自民党が勝利し、国民の信任を得た、と。みそぎは済んだということになり、政権は継続し続けた。

 

民意が、安倍政権の責任を不問に付したともいえる。野党には任せられないので仕方がなかった、と言えばそれまでだが、それならば与野党もろとも取り換えるくらいの運動を主権者として行わねばならないのではないか。日本政治の現状は、政治家総入れ替えが必要なほどに劣化している。

 

ただ、そうは言っても、主権者である国民はそう簡単に動けるものではない。多くの人は、生きていくために必死。自分や家族の生活で手一杯なのが現実。私自身も。政権政党の不祥事がこれだけ積み重なり、このままではいけないとわかってはいても。

 

万が一、安倍首相が健康問題を理由に退陣しても、日本は全く変わらない。安倍嫌いな人たちが喜ぶにとどまる。問題は、責任を取らない人々がうごめく永田町そのものにあり、政権与党のみならず、野党も同じ穴の狢。そこにメスが入らない限り、何も変わらない。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

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