赤木俊夫さんの遺書(森友問題は終わっていない)

 

こさいたろうの視点・論点 0137

2020/04/04

 

 

赤木俊夫さんの遺書(森友問題は終わっていない)

 

週刊文春の3月26日号に、「森友自殺〈財務省〉職員遺書全文公開 『すべて佐川局長の指示です』」が掲載されました。執筆は大阪日日新聞の相澤冬樹氏。森友事件取材時に記者を外されNHKを退職したジャーナリスト。週刊文春は完売を受け、異例の全文公開をしました。https://bunshun.jp/articles/-/36818

 

遺書は、衝撃的です。なぜ公文書を改ざんしなければならなかったのか、そして自死に至らざるを得なかったのか、その経緯が極めて克明に記されています。安倍首相の「国会議員も辞めます」発言をきっかけに、佐川理財局長(当時)の指示で、公文書改ざんが始まった、と。

 

私としてはこの遺書に触れ、森友事件のモヤモヤとした霧のようなものが晴れていく気がしました。公文書改ざんは認めたものの、おざなりの内部調査で軽微な処分にとどまり、なぜか検察も不起訴に。佐川氏はその後国税庁長官に出世し、退官。誰も本当のことを語らない、誰も責任を取らない、そんなふうに見えていました。

 

でも、改ざんに手を染めてしまった自らを責め、自ら命を絶ってしまうこととなった赤木さんが遺書という形で、事件の経緯を残してくれていたわけです。自分の命と引き換えに薄汚れた政治・行政の実態を告発したと言えます。なかったことにしてはなりませんし、極めて重く受け止める必要があるはずです。

 

政治家の関与により不当に国有地が売却され、政治家の発言をきっかけにその経緯を記した公文書がいとも簡単に改ざんされる、その後も関係書類が破棄され改ざんの隠ぺいが重ねられていく。こんなことを許していいはずがありません。

 

今は新型コロナウイルスの終息に向け全力を挙げる時ではありますが、絶対に忘れたりうやむやにしたりしてはなりません。百歩譲って、遺書の内容は一方の側からの告発なので、当事者の反論があれば受けねばなりません。だから、コロナ終息後には速やかに再調査すべきなのです。それだけ重大な新証言なのです。

 

しかし、麻生財務大臣は、「新たな事実が判明したことはない」「(18年6月公表の)財務省の報告書に尽きる」「再調査を行う考えはない」と再調査を拒否。安倍首相も麻生氏と同じ内容を繰り返すばかり。これが最も大きな問題の一つだと私は捉えています。

 

そもそも、公文書改ざんを実行した組織の長である麻生大臣、責任らしい責任も取らずにその席に居座っていること自体、異常です。しかも、赤木さんの遺書にも「新事実なし」と居直る神経が、私にはどうしても理解できません。堂々と再調査に踏み切れないところに、真実の一端が見えるものと思います。

 

忖度。政治と行政の間には、少なからずそんなこともあるでしょう。議会での発言や議論を受けて、行政が政策立案したり業務を見直したりすることはあります。むしろそれは当然かもしれません。でも、説明できないこと、ましてや法令に反するようなことはご法度です。

 

一線は越えない。これは、多くの場合、政治家も官僚・役人も自らを律し、自制していること、私は経験からわかっているつもりです。ただ、まれに一線を越えてしまうようなことも見聞きしてきました。表に出ないことが多いですが、表に出たら潔く腹を切るしかないはずです。あるいは、責任を取りつつ戦うか。

 

安倍政権。この種の疑惑が多すぎます。そして、責任を取らない政治家が多すぎます。森友事件、加計疑惑をはじめ、毎月勤労統計の数値操作、桜を見る会問題も見過ごされていいわけがありません。詳しくは記しませんが、すべて広く忖度案件と言えます。

 

また、もうだいぶ忘れるくらい積み重なっている政治家の不祥事。選挙区で金品を配る、公選法を無視して選挙をする、カジノ関連の外国企業からの献金・接待を受ける、口利きを重ねる、などなど。これらの政治家は、十分な説明責任は全く果たしていると言えないし、相応の責任を取ったとも言えません。

 

私は、日本国の指導者層が責任を取らない体質であるから、だれも責任を取らないことになってしまうのだと思います。河井夫妻も国会におりますし、秋元さんも、菅原さんも、甘利さんも、みんな、国民に納得いく説明はせずに、国政の自席に座っておられます。やっぱり、どう考えてもおかしいです。

 

話を元に戻し、赤木さんの遺書公開を受けての森友事件の真相究明、あくまでもやらないというのであれば、それをやる勢力に交代をしてもらうしかない。その勢力は、国民が作るしかない。今はできないけれど、決して忘れてはならないと思います。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

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