N国党の議席獲得に思うこと

 

こさいたろうの視点・論点 0106

2019/07/29

 

 

N国党の議席獲得に思うこと

 

     

 

ちょっと驚きました、正直に言って。「NHKを国民から守る党」の議席獲得。選挙前、息子と話していて、参院選について学校で一番話題になっているのが「N国」と聞かされました。強烈な政見放送や関連の映像、子どもたちはYouTubeを通じて見ていたのです。

 

子どもの間で話題になることは、口コミで広がっていくきっかけになります。僕自身の選挙でも、他の人の選挙でも経験していますから、間違いありません。初めて区議選に挑戦した時、自転車に乗ってガッツポーズのポスターは、まず小学生たちの話題になりましたし、具体的政策を記した看板を掲げるポスターも、同様でした。遊説の時に子どもたちが集まってくるのです。ガッツポーズを真似たり、看板を掲げるポーズを真似たりして、だんだん大人に浸透していく感じです。

 

ただ、子どもたちの間で話題になったからとはいえ、参院選の全国比例選挙で、議席獲得まで得票を伸ばすとは全く想像できませんでした。98万票を超えています。得票率は1.97%になります。

 

参議院の全国比例区については、僕が関わった選挙として、1998年を思い出します。当時所属していた新党さきがけは、党の存亡をかけて参院選を戦いました。5年間、国政の中枢で与党の一角を占めてきた政党でしたが、得票は78万票余り、得票率1.40%に終わり、議席は獲得できませんでした。当時と今とでは、社会情勢も、選挙の制度も違い、一概に比較はできませんが、全国で100万もの票を獲得するということは並大抵のことではないと思うのです。

 

しかし、「N国」は、並大抵ではないことを実現させてしまいました。今までも、特定の政策課題の解決に特化したような政治団体が参院選に挑む事例はありましたし、今回もいくつかそのような団体が出ていましたが、「N国」は突出して得票しました。

 

どうしてこのような結果になったのか、いろいろな分析が成り立つと思いますが、既成政党に投票したくない人で、NHKのあり方に不満のある人が票を投じたのではないでしょうか。つまり、政見放送やYouTubeの動画が面白い、インパクトがあるといえども、訴えている内容に多くの人が共感を覚えなければ、これだけ得票が積みあがるものではないと思うのです。つまり、NHKの受信料制度を変えるという政策への賛同と、そのまま受け止めなければならないのではないでしょうか。

 

選挙運動について、ふざけた要素が濃すぎるように思うところもありますが、選挙の結果は厳粛に受け止めなければならないと思います。僕自身も、NHKの受信料制度は不公平感を強く感じてきました。代表・立花氏の個人的恩讐に端を発する主張に見受けられる部分もあるにせよ、目指しているワンイッシューの政策、NHK受信料改革は必要なことであり、ひいてはNHKのあり方そのものにもメスが入るべきだと思うのです。

 

一部では、「N国議席獲得という結果は、政治的常識の崩壊」という意見もあるようですが、改革が必要な特定の政策課題に特化して選挙に出ることは決して悪いことではないと思います。政策実現したら解党する、と言い切っているあたり、議席にしがみつく輩〈やから〉と較べても、潔いと僕は思います。

 

参議院の全国比例の選挙制度を使って、さまざまな政策課題の解決のために立ち上がる人たちがもっと出てきてもよいのではないかと思います。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

                                  

 

 

 

 

 

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