統一地方選挙の結果を見ての雑感

 

こさいたろうの視点・論点 0093

2019/04/29 その2

 

 

統一地方選挙の結果を見ての雑感

 

 

今年は天皇陛下のご退位、新天皇の即位、改元があり、人々の関心はすでにそちらに移っているわけですが、ついこの間まで、全国で統一地方選挙が行われていました。少し出遅れてしまいましたが、統一地方選挙のコサイ雑感を記してみたいと思います。頭に思い浮かんだ順に書いてみます。

 

☆ マック赤坂氏の当選:私、港区議会議員をしていたので、とても驚きました。この方が初めて選挙に出たのが港区議選、私の4回目の港区議選と重なっていました。記憶では100票獲得されていたと思います。当時赤坂のパチンコ屋の前に超高級外車が停まっていて、それがマック赤坂さんの街頭演説用自動車だったことに驚いたことを覚えています。確認はしませんでしたが、地元の人の話だと、なんとパチンコ屋にいると言ってました(笑)ただ、それからたくさんの選挙に出る中で、本気度が変化してきたようにお見受けしていました。以前、ローカル紙の記者さんが「マック赤坂さんは実は理念・政策、しっかりしているよ」と言っていたのを思い出します。知名度が高まった中での当選とは思いますが、ご活躍を期待しています。

 

☆ 当選者の傾向:強固な地盤がある。これには2パターンあって、地域の相談事をまめに解決してきたような古いタイプと、役所へのチェック機能を果たす役割を果たし、情報発信を続けてきたタイプ。いずれも地方議会には必要で、有権者の良識ある判断が示されているのだと思います。また、今回は、若さ・女性などの際立った特徴がある、この条件もいつも以上に結果に影響したように見えました。どちらかの候補が強く、あまりエッジがきいていない候補は埋没、という傾向があったように分析しています。

 

☆ 自民党の底力:主に東京の区議選の結果を見ての感想ですが、自民党は高支持率を背景に候補者を大量擁立していたように見えます。なので、区によっては当落線上で自民党候補者がたくさん落選という結果が目につきました。ただ、これは自民党が弱いのではなく、強い証拠かと思います。強烈な党内競争を促した結果と見ます。中堅から古参で票固めの活動を怠っていたような人は容赦なく落選しているように見受けられましたが、これは議席数が減ったのではなく、頑張った新人と入れ替わったということになります。でも、本当に自民党一強でいいのか、私たちは十分に考える必要があると思います。

 

☆ 大阪での維新の存在:大阪では、維新の会が大きな支持を得て躍進したようです。私自身、国政での維新の会の立ち位置や、昔の顔で出ているような幹部議員を見ると、どうしても信頼を置くことはできないのですが、大阪ローカルでは受け止められ方が全く違うようです。これまでは、橋下個人商店と揶揄されていましたが、大阪都構想の実現を通して大阪を変える、という主張が、地道な地域活動を通じて浸透してきているのだと感じました。その裏側には、古い自民党や既得権を持った役所がいかに悪かったかという背景もあると思います。主義・主張は別にして、地道に、粘り強く地域に浸透することで政治を変える、という意味では、大いに学ぶべきところがあるように思います。

 

☆ 立憲民主の堅調さと共産党の不振:こちらも主に東京を中心に見た限りですが、立憲民主党が新鮮さのある候補者を並べて堅調に議席を獲得した一方、共産党は接戦をことごとく落としているように見受けられました。候補者を出しすぎた可能性もありますが、それは行けると踏んで擁立したものと思います。さらに、組織政党には有利な低投票率も生かせなかったことになります。共産党はこれまで、主に所得の低い有権者の支持をめぐって公明党と票の取り合いをしていました。これに加え今回は、反安倍政権・反権力の票を立憲民主党と取り合う構図になったものと思われます。前回の衆院選でも同様の傾向がありました。一方で、大阪での衆院補選での野党統一候補も思ったほど票が伸びませんでした。つまり、今の野党が取れる票数には限界があり、いくら野党が集まっても広がりはもたないことを表しているのではないでしょうか。

 

☆ ほぼ史上最低の低投票率:前半の知事選以外、すべての選挙で史上最低の投票率となったようです。知事選もこれまでで二番目に悪いとのことでした。そんな中でも、コツコツまじめに取り組む政治家、行政と健全な緊張関係を保ち監視機能の役割を果たしている政治家が当選している地方議会も多く、有権者の見識を表しているものと思います。しかし、俯瞰してみると、概ね現状維持を求める結果になっているように見えます。これは、低投票率がもたらしている結果という側面が極めて大きいと思います。ふだん、投票に行かない人が投票行動に動けば、大きく政治を変えられる可能性が高まります。ただ、ここまで書いて、うつむいてしまう自分もいます。一昨年の「都民ファースト」旋風で何か政治は変わったのか、と。ただ、それでも、可能性を求めて主権者は行動すべきだと思っています。何ができるか、考え続けていきたいと思います。

 

小斉太郎

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

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