驚くべきAIアナウンサー

 

こさいたろうの視点・論点 0088

2019/03/23

 

 

驚くべきAIアナウンサー

 

 

山梨に住んでいますと、どこに行くにも車での移動です。そんな時は、ラジオがドライブのお供。ただ、都会と違って放送局が少なすぎて、年齢的なこともあり、結局は、NHKラジオ第一放送を聞くことが多いです。二年前に白州の鳥原に引っ越すまで約十年間、テレビがない生活をしていて、自宅でもラジオを聞く日常だったことも、ラジオ好きになった理由かもしれません。

 

今月の初めのある日、運転中、そのNHKラジオを車で聴いていると、山梨県内の天気予報が流れてきました。「あれ、聴き覚えのないアナウンサーの声だな。誰かな?」と思いながら聴いていました。長年のヘビーユーザー、しかも甲府放送局は小さいので、ほとんどのアナウンサーを覚えているのです。異動の情報なども、結構知ってたりしまして(笑)

 

天気予報を聞き進み、終わろうとしたその時に、こんなアナウンスが流れてきました。正確ではないのですが「NHKが開発したAIアナウンサーの声で天気予報をお伝えしました」という内容のアナウンスでした。僕は、驚愕しました。「え、AIアナウンサー!?」と。そのくらい完璧でした。生きている人間の声そのもの、ひとかけらの違和感も感じなかったのです。

 

調べてみますと、こういうことでした。日刊工業新聞〈2019/01/29〉の記事より要約・抜粋します。

 

『NHKは人工知能(AI)を活用した音声合成により、ラジオで気象情報を発話するAIアナウンサーを開発した。山梨県を放送対象とする甲府放送局のラジオ気象情報で3月に実証する。AIアナウンサーは、NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)と連携して開発した。甲府放送局の過去3年分の気象情報から抜粋した文章などをNHKアナウンサーが読み上げ、AIに学習させた。AIが注意報や予報、雨量、風速など多様な気象データを話し言葉に変換する。文脈に合ったイントネーションや間の取り方、情報の取捨などNHKアナウンサーが持つ話術を再現できるか検証し、早期の実用化を目指す。山梨県は観光地として人気が高い富士山を有し、気象情報へのニーズが高いことなどから実証地域として選出した。AIアナウンサーは3月4―8日と、25―29日の3分間のコーナーで登場する。』

 

僕はこれを偶然聞いたのです。知らなかったのですが、NHKでは昨年4月から、平日深夜の「ニュースチェック11」で「ニュースのヨミ子」さんというAIアナウンサーが登場していたようです。いや、AIアナウンサーのデビューは平昌五輪だったとのこと。これらをベースにして開発がすすめられたという、僕の聴いたAIアナウンサーの声はやはり、『アナウンサーのように自然で滑らかな「読み」を実現』(NHKプレスリリースより)と、NHK自画自賛。それだけのことは十分にありました。僕自身の、世の情報への疎さを露呈してしまいますが、それにしても、世の進化はとどまるところを知りませんね。

 

そういえば、その昔、駅の改札口には駅員さんが並んでいました。ハサミをカチャカチャやる姿に、憧れていたっけ。でも、いつの間にいなくなってしまいました。スーパーのレジも、まだ人がいるところが多いですが、少しずつセルフレジが増えてきている気がします。多分、探せばいろいろありますよね、きっと。そして、ついにアナウンサーも、生身の人間でなくても十分仕事ができるようになりつつあるわけです。

 

2015年の野村総合研究所による分析では、<人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業>の上位に、実はアナウンサーが入っています。でも、「あの」音声を実際に聞くと少なくとも、アナウンサー業務の多くの部分がAIに代替される可能性が高いと思います。研究を専門にする人たちの予測も簡単に塗り替えられていく時代のスピード。人が手放してはいけない仕事は何か、考える必要があると感じています。

 

この春、息子は小学校を卒業し、中学生になります。あと6年後に18歳、10年後には22歳、社会に出て自立する年齢になります。そのころ、世界はどうなっているのでしょうか。凡人である僕には、予測もつきません。したがって、子どもに示唆を与えることはほとんどできません。ただ、どんな時代になっても、自分で考え、他者と協調し、自分で行動し、自分で生き抜いていける人に育ってほしい、そんなふうに願っています。息子の通う学校の可能性を信じています。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

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