金を配る政治

 

こさいたろうの視点・論点 0165

2020/12/22

 

金を配る政治

 

前号で取り上げましたが、河井夫妻が現金を配り歩いていたことは衝撃的でした。配るお金の一部が自民党本部からやってきたのか、それを自民党本部側は知っていたのか、つまり二階幹事長をはじめ、安倍総理や菅官房長官が関わってはいなかったのか、徹底的に調べるべきと思いますが、内部調査もせず、検察もそこまでは切り込まないようです。

 

昭和、平成を経て、令和の世となりました。私は3つの元号を生きる日本人となりました。小さな子どもには、明治生まれのおじいさんのように思われる時が来るのでしょう。そんな昭和の時代、金権政治の打破が叫ばれ、平成が始まった頃、新しい政治勢力が生まれ、自民党は分裂し、新しい政治の幕が開きました。そんな時、私はその世界の末端に身を置いていました。

 

当時は田舎ではまだまだ、選挙になるとおにぎりなどの食事がふるまわれるような時代でした。私は東京でしたのでほとんど経験しませんでしたが、こんな話を聞いたことがあります。ふるまわれるおにぎりには、海苔が巻いてあるものと巻いていないものがあり、みんな海苔のない方を食べ、海苔の方は持って帰るのだとか。海苔の方にはなかに現金という具が入っていたそうです。

 

そんな時代でした。私自身も少ないですが、政治と金にまつわっていくつかの経験をしています。

 

地方議員になってすぐのころ、ある選挙に関してある候補者を応援してほしいと頼まれました。私は、政策協定を結べるならば前向きに検討すると伝えました。当時20代半ばの若者に長老議員は内心激怒しながら、厚い封筒を差し出しました。20だったと思います。領収証を書いて受け取れ、と。もちろん断り席を立ちましたが、その金の出どころはどこだったのか。

 

こんなこともありました。新興政党から都議、国会議員へと上り詰めたある政治家。

 

そんなに親しいつもりではなかったのですが、相談事がある人がいるので会ってほしいと連絡がありました。内容は、役所との契約の相談で、話の終盤に厚い封筒が出てきました。むちゃくちゃ分厚くて、驚きました(商品券だったからなのですが)。もちろんつき返し、抗議の電話をその人に入れました。その人、今も野党でそこそこのポジションにいます。だから、野党も信頼できません。

 

引退した長老政治家から訪ねられたことがありました。

 

区長選挙に落選し、熟慮の末、もう一度区議選に出馬していた頃。ある長老政治家に呼ばれ、話をしました。僕としては敬意を表してご挨拶のみのつもりでしたが、その後も会いたいと頻繁に電話が。お断りしていると自宅に突然来て、厚い封筒を受け取れと。私は不在で妻が対応、妻からの電話に「絶対受け取らないでくれ」と。あとで妻から「嫌な役をさせられた」と嫌味を言われましたが。

 

最後の話も野党系です。与野党関係なく、金を配る政治を受け入れたことのない、根絶できる政治家が必要です。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)