「モノ・カネ」を配る政治家がいまだにいること

 

こさいたろうの視点・論点 0117

2019/10/28

 

「モノ・カネ」を配る政治家がいまだにいること

 

世は「令和」となるも、いまだに「モノ・カネを配る政治」が堂々と行われていることを知り、愕然としている。しかも、メロン・カニの贈答について週刊誌報道され、国会でも追及されている最中であるにもかかわらず、選挙区内での葬儀に秘書が香典を持参したとのこと。

 

自民党・菅原一秀代議士。いつもやっていることだから、世の中で大ごとになりかけていても気付かなかったとしか思えない。こんな状況を目の当たりにすると、メロンやカニの事件は時効が成立しているようだが、各方面への「贈答」がなされていたと疑わざるを得ない。

 

モノやカネを配って投票してもらう。もらって投票する有権者、それはそれで問題だが、配る政治家の責任はより重い。政治家が賄賂で動く社会を許容しているに等しい。さらには、「配る」ためには「カネ」が必要で、より多くの「カネ」を集める必要が生じる。必然、グレーな「カネ」にも手を出すことになるはずだ。

 

菅原一秀氏は経済産業大臣を辞めて責任をとるとし、安倍首相は任命責任は自分にあり国民にお詫びするという言葉のみをもって幕を引こうとしているが、そんな軽い問題ではない。「モノ・カネ」を配っていたことが事実なら、議員を辞すべきだし、自民党は菅原氏を除名処分にすべき。

 

     

私が政治家を志すきっかけとなった体験の一つに、「口利き」への憤りがあった。いわゆる交通違反のもみ消し。政治家が役所に口を利いて、その対価を受け取る、こんなことが許されていいのかと、二十歳そこそこの若造は思った。今から30年近く昔の話。

 

私が政治を志そうと決めた時、長く政界に身を置いたある先輩がいろいろなことを教えてくれた。中でも、「これからの政治は、鉛筆一本配ってもいけない」、こう言ってくれたことをよく覚えている。心の底から、同感だった。そういう政治風土から変えねばならないのだ、と青臭く思い続けた。

 

区議会議員になった後、秋の祭礼の奉納金を出すように町会の方から言われた。その頃は、神酒所に酒を持参し、奉納金を置いて回る政治家がまだいた。だから、出す方も受け取る方も法律に触れます、と言う私に白い目を向けられることもあったが、毅然と対応することで少なくとも私の地元には浸透したように思う。

 

政治家である間、年賀状も出したことがない。自筆、答礼を除き、選挙区内の有権者に宛てて年賀状を送ることは公職選挙法で禁じられている。禁止でなければ、金さえあれば全有権者に出せる。あのライバルが出すなら、自分も。金持ちほど有利になる「金権選挙」になる。

 

ふつうに暮らしていれば、付き合いのある人に年賀状を出すのは当たり前だし、地域社会で生活していれば、何か世話になれば贈り物を贈り贈られるのも当たり前。お祭りの奉納金など、お金のお付き合いもちょくちょくある。それでも、政治家はやってはいけないと私は強く思っていた。

 

一つ例外を作ってしまえば、もう「蟻の一穴」となる。世話になった度合いを測り、あの人には贈って、あの人は贈らないなんてできない。また、地域社会の付き合いなのか政治家としての行為なのか、線引きは不可能。何より、一度やったらやめられなくなってしまうのだ。「モノ・カネ」の付き合いの方が当たり前だから。

 

これは、地域社会に根ざして政治活動をする、自民党をはじめとした保守政治家にとって特に悩ましい。「世間の当たり前」を実行できないということを、自ら説明し、理解してもらう必要が生じるからだ。でも、一線を越えれば、もう元には戻れない。

 

だからこそ、大臣にまでなる政治家が「モノ・カネ」を配っていたことが明らかならば、司法判断を待つまでもなく、党籍を剥奪し、議員辞職を促す責任が大・自民党にはある。大臣のみならず、国会議員から地方議員まで、こういうことをやっていいのか悪いのか、厳しく姿勢を示すべきだ。

 

正直に言って、私が政治の現場にいた6年余り前でも、ここまで露骨でないにせよ、グレーなことは見聞きしていた。山梨に来た後も、政治家の「カネ・モノ」にまつわる出来事を見聞きしたこともある。長期政権だからこそ、このように根深い悪しき政治風土を変える力を発揮してほしいと思うのだが。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

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