新「日米新時代」を議論すべき時ではないだろうか

 

こさいたろうの視点・論点 0102

2019/07/05

 

 

新「日米新時代」を議論すべき時ではないだろうか

 

 

「日米新時代」。この言葉は、安倍晋三首相の祖父、岸信介氏が首相の時に用いたものだ。近年公開された外交文書によれば、日米安保条約の改定のみならず、沖縄などの返還合意→衆参の選挙で3分の2を獲得→5年後をめどに憲法9条を改正→安保再度改定、これにより「相互防衛」が可能な体制を構築するという壮大な構想を念頭に置いた言葉だったことが明らかになっている。

 

歴史は岸氏の思惑通り進まなかったが、孫の安倍晋三氏が首相となり、その遺志を引き継いでいるように見える。2013年成立の「特定秘密保護法」は、約60年前の安保改定前夜、岸・ダレス会談で、米国側から新兵器に関する情報交換を行うために必要だと法整備を促されていたことも、公開文書から明らかになっている。

 

安倍首相は、60年前に祖父が目指した「日米新時代」の構想実現を目指しているように見える。私は、安倍首相がもっと明確に、自身が目指している方向を国民に伝えるべきだと思っている。日本が世界の中でどのように生きていくべきか、決断をしなければならない時が迫っているような気がするからだ。

 

先日、トランプ米国大統領が日米安保条約廃棄を示唆する発言をしたという。

 

発端はブルームバーグ通信の「トランプ大統領が日米安保条約破棄する可能性についての考えを側近に漏らしていた」という6/25の報道。

 

その後、6/26にはトランプ大統領自らがFOXビジネスのニュース番組の中で、「もし日本が攻撃されれば、我々は第3次世界大戦を戦う。我々の生命と財産をかけて」としたうえで、「我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要が全くない」「(日本は)その攻撃を、ソニーのテレビで見るだけだ」と批判したという。

 

そして、6/28の日米首脳会談では、日米安保については両首脳が同盟を一層強化する認識で一致したものの、6/29の記者会見でトランプ大統領は、日米安全保障条約について「不公平な合意だ。もし日本が攻撃されれば、私たちは日本のために戦う。米国が攻撃されても日本は戦う必要がない」と不満を表明。その上で「変えないといけないと伝えた」と述べ、日本に見直しを求めていることを明らかにした。ただ、破棄は「全く考えていない」と否定したとのことだ(日本経済新聞紙面より)。

 

報道などによると、日本との貿易交渉を有利に進めるための牽制、取引材料と見る向きが強く、また、米国第一主義を掲げるトランプ氏の国内支持者向けのアピールと取る向きもある。いずれにしても、現状で急速に大幅な路線変更がなされていく可能性は低く、過度に反応すべきでないという専門家の指摘は正しいものと思う。

 

その上で、たとえ急速な展開はないにしても、米国大統領が「日米安保改定」に言及したことには間違いない。

 

これまで、「日米安全保障体制を中核とする日米同盟は日本外交の基軸」とされ、一部少数勢力を除き、多くの国民が共有してきた。しかし、トランプ大統領の真意はともあれ、日米同盟、日米安保体制を含め、日本が世界の中でどのように生きていくのかを改めて考える時期が到来しているということを、この度のトランプ発言は示唆しているのではないだろうか。

 

私が日米関係を考える時、後藤田正晴氏が晩年、繰り返し述べておられたことを思い返すようにしている。以下、後藤田語録(私の後藤田正晴・巻末より抜粋)を紹介し、今回の視点・論点を終えたい。ほぼすべて共感している。日米同盟深化という現政権の方針とは異なる。徹底的に議論すべき時が到来しつつあると感じている。

 

日本国憲法について:「将来は9条を改正し、自衛権を明記することになるのかもしれない。そのときのことで一つ注文をつけるなら、海外では武力行使をしないことを同時に明示すべきであるということだ。これだけは最後の一線として守るべきだ。自衛のためならいいではないか、という反論が出てくるかもしれないが、侵略のため軍隊を持つ、海外へ出て行くと言う国はどこにもない。だから私は当然、拡大解釈で集団的自衛権は合憲とする考えにも賛成できない」

 

日本は戦争できない国:「ぼくは前から、日本は戦争できない国だと見ている。戦争して生き残れますか? これだけの高密度工業社会ですよ。これだけ兵器が発達した時代ですよ。核兵器と生物兵器と化学兵器。サイバー攻撃まで考えると、もう逃げる余地がない。国土も狭い。滅亡戦です」

 

日米安保条約について:「日米安保条約は冷戦時代の発想だ。冷戦時代はもう終わった。だから、日米安保体制の拡大・強化には反対だ。むしろ、軍事同盟から平和友好条約へ転換すべき時期が近づきつつあると思う」

 

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

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