沖縄の選択を重く受け止めなければ

 

こさいたろうの視点・論点 0066

2018/10/02

 

 

沖縄の選択を重く受け止めなければ

 

 

9月30日、日本列島を台風が縦断する中、沖縄県知事選挙の投開票が行われた。翁長前知事の死去に伴い行われたこの選挙は、米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設することの是非が最大の争点だった。激戦の末、辺野古移設に反対の姿勢を明確に示した玉城デニー氏が当選した。

 

辺野古移設を強力に進める自民公明の政権与党が推薦した佐喜真敦氏、316,458票。これに対し、反対の玉木デニー氏、396,632票。大接戦という予測に反し、8万票以上の大差がついた。また、選挙終盤から投票日にかけて台風が直撃したが、投票率は過去3回の知事選とほぼ同じ63.24%だった。

 

これは、極めて明確に、はっきりと沖縄県民の意志表示がなされたものと見るべきだ。現状のままで基地を新しくつくることに沖縄県民はNOという意志を示したと捉えなければならない。もうこれ以上の基地はいらない、という沖縄県民の思いを重く受け止めねばならない結果だと私は思う。

 

かつて、私が国政に挑戦していた頃、普天間基地の極めて高い危険性を除去するためには辺野古への移設もやむを得ないという立場だった。橋本内閣の大臣だった田中秀征氏や総理秘書官だった江田憲司氏から、橋本首相が普天間返還のために苦渋の決断をし、沖縄と粘り強く対話していたことを聞いていたからだ。

 

前知事の翁長氏は自民党時代、辺野古移設に賛成していたという。しかし、時を経て、辺野古移設に絶対反対の立場に変わり、県知事となった。盟友の稲嶺元知事はあるインタビューでこう述べている。

 

「自民党時代の翁長君は確かに辺野古移設に賛成していました。その後の議論の中で、彼はおかしさを感じたんじゃないかと思うんです。沖縄では議論を重ねているのに、いつまでたっても日本全体は、外交や国防という問題は自分たちには蚊帳の外、関係ない問題だ、という意識で沖縄に多くの基地負担を押し付けている。それについて、改善の努力もしない。そんな状況にしびれを切らしたんでしょう。」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57723 より引用)

 

太平洋戦争末期には、本土の盾となるべく軍民問わず玉砕を命じられた沖縄。戦後、長年にわたり米国に占領され続けた沖縄。復帰後も多くの基地が残り、不条理な事件や事故が後を絶たない沖縄。平和憲法を持つ日本の安全保障の負の側面を一手に引き受けている沖縄。私たちが本当の意味でその悲哀を理解することは難しい。

 

ただ、思いを寄せ、思いを致し、共に考え、共に問題を解決するために努力することはできるはずだ。私は、戦争を経験した前世代の政治家は、保守・革新の別なくそれができていた、本心からそうすべきだと思っていたのだと思う。だからこそ、沖縄の旧保守勢力は辺野古移設という結果を条件付きで認めてきたのではないだろうか。

 

しかし、時は移ろってしまった。まずは、無責任な民主党政権。鳩山氏の「最低でも県外」発言。根拠や見通しがあるのなら大歓迎されるべき方針だが、何もなかった。全くなかった。その後、やっぱり辺野古移転で、となりこの問題は大きく迷走を始めることとなった。

 

その後の安倍自民党政権。辺野古移設を強力に進め始めるが、沖縄県知事選挙で反対派の翁長氏が当選すると、のっけからその就任あいさつを拒否。以降、決定的な対立の構図の中で、安倍政権は決定事項を粛々と進めようと動き、今に至っている。そこには、沖縄に負担を強いているという負い目のようなものは全く感じられない。

 

この選挙でも、佐喜真候補の応援に乗り込んだ菅官房長官は、辺野古問題には一切触れず、携帯電話の料金を4割下げるといった演説をとうとうと続けたと批判を受けている。多くの沖縄の人々の心を理解しない現政権の姿勢を如実に表しているように感じる。

 

たしかに、玉城新知事となっても、すでに工事が始まっている辺野古を止めるのは難しいのかもしれない。普天間の危険を除去することがこれ以上先送りになることもあってはならない。ただそれでも、沖縄の人々は、もうこれ以上の基地はいらないとする玉城氏に自らの期待を重ね合わせたのだと思う。

 

沖縄県知事選の直前、安倍首相は自民党総裁選で三選を果たし、あと三年間の総裁任期を得た。これまでの振る舞いを見れば、多くを期待することはできない。ただそれでも、沖縄の選挙結果を重く受け止め、対話のテーブルについてほしいものだと願わずにはいられない。

 

日本はそろそろ、沖縄ありきの日米安全保障体制を変えていく準備を始めるべきではないだろうか。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

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