地方議員のなり手不足

 

こさいたろうの視点・論点 0059

2018/08/03

 

地方議員のなり手不足

 

先日、村議会議員のなり手が足りず議会の存続が危ぶまれている、人口約400人の高知県大川村を小泉進次郎氏が視察したことで、「地方議員のなり手不足」について再び大きく取り上げられていました。

 

地方議員“なり手不足”400人の村で何が(18/07/31:日テレNEWS24)

http://www.news24.jp/articles/2018/07/31/04400237.html

 

昨年、この大川村が、このような状況の中で村議会をやめて、議会の代わりに「町村総会」を設けることを模索すると発表したことで、地方議員のなり手不足がにわかにクローズアップされてきました。町村総会とは住民全員が集まり物事を決めるというもので、地方自治法94条にその規定があります。

 

総務省が難色を示したことも影響したともいわれる中で、大川村では実現を断念したようですが、課題解決に至ったわけではなく、全国で同様の問題の深刻さを増しているのが実情です。私の住む山梨県の北杜市でも、一昨年の市議会議員選挙には定数22人のところ立候補者数は23人で、かろうじて選挙が実施されたような状態でした。

 

地方議員のなり手不足の原因として、報酬が低すぎてそれだけで生活が成り立たないからだとか、地方議員年金を廃止したから先行きに不安があるからだとか言われています。でも、報酬を上げれば、議員年金を復活させれば、問題は解決するのか。答えはNOだと僕は思います。

 

地方議会の役割は何か、その役割を十分果たすためにどのような議会が必要なのか、現状は役割を果たせる議会として機能しているのか、といった本質を議論しない限り解決策は見いだせないとうのです。

 

 

 

僕はかつて地方議員でした。東京特別区の議員だったため報酬は高く、議員報酬のみで生活をする専業議員でした。25歳からやらせてもらい、ほぼこの道しか知らずに年をとったため、議員を辞めてからは生きるためのスキルに乏しく苦労していますが、それは自らの責任と受け止めています。

 

むしろ、4期やらせてもらう中で子どもも生まれ、「生活するために当選し続ける必要があるのかもしれない」という気持ちが、自らの脳裡にめぐるようになってきたことが大きな悩みとなっていたことを思い出します。そうなってくると、当選するために追及の手が緩んだり、過度な住民要望に応えざるを得なくなっていく懸念があったからです。

 

役所の税金の使い道を厳しくチェックする、一部に偏った不公正な行政を正す、行政やそれを取り巻く特権的なありようを正す、といった僕自身の初心、議員が果たすべき役割を十分果たせなくなってはならない、そう考えました。そして、地方議員を辞め、国政の場でそれまでの経験を活かしたいと決意したのですが、結果は落選となりました。

 

そんな経験をもとに「地方議員のなり手不足」を考える時、報酬が少なくて生活が成り立たない、的な理由づけには納得できないところがあります。議員は職業ではなく、一時的に報酬が生活に充てられたとしても、生活するために当選し続けようと考えるような人に任せるべきではありません。

 

大川村の問題提起も受ける形で今年の3月、総務省の研究会が、小規模の市町村を対象にした新たな議会のあり方を提案する報告書をまとめました。本来は地域ごとに住民が話し合って答えを探すべきで国から押し付けるような形はよくないと思いますが、その報告には解決へのヒントがあるようにも思えます。以下サイトに詳しく解説されています。

 

「なり手不足 地方議会はどうなる?」(くらし☆解説)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/294803.html  (NHK公式サイト:18/04/11)

 

要約すると、① 報酬は低く、議員の数を多くする ② 報酬は上げて、議員の数は絞る という二案。僕は、行政を厳しくチェックするのが議会の最も大きな役割と考えており、その意味で①は絶対機能しないと思います。常に仕事として行政を担う役所の情報量や準備能力にかなわず、議会が追認機関、ガス抜き機関になってしまうおそれが大です。

 

僕は、議員の報酬をもう少し上げて、議員の数を絞り、行政の仕事ぶりをしっかり監視できる能力を持った人を議会に送り込むことが住民の全体利益にかなうものと思います。一部集落や組合、職域の利益を代表する人の集まり、という古い議会のありようを、これを機に替えていく必要があると思います。

 

あわせて、議員と元の職との兼業を可能とするために、議会は夜間、休日開催とし、総務省の報告書にもあるように、幅広い民意を反映させるために議員以外の住民にも議会に参画してもらう仕組みを作ればよいと思います。経験上、鋭い問題意識を持った住民はかなりおられるはずです。また、議員を辞したら職業復帰できる社会風土を作ることも重要です。

 

来年4月には統一地方選挙が行われます。地方自治法ができてから70年余りが経ちました。地方議会のあり方をゼロベースで見直し、真に住民のために機能する議会に作り直していかなければならない時期に来ていると思います。私が新たな山里に移ってきても、市議会が何をやっているのかはほとんど見えてこないことが問題の根深さを物語っていると思います。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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