公文書改ざん・民主主義の根幹を揺るがす

 

こさいたろうの視点・論点 0040

2018/03/03

 

 

公文書改ざん・民主主義の根幹を揺るがす

 

 

森友問題に関連して、またもや重大疑惑。まだ疑惑にとどまっているが、事実なら私は、民主主義の根幹を揺るがす大問題だと思います。

 

森友学園と財務省の間で土地取引をした際、財務省近畿財務局の管財部門が作成した局内の決裁文書。朝日新聞の報道によると、その当時の決裁文書と昨年2月に国会に提出された文書の内容が違うというもの。起案日、決裁完了日、決裁番号、決裁印は同じなのに、文書の内容が異なるというにわかには信じがたい報道内容。

 

契約当時の文書には、森友学園との交渉経緯や森友学園の要請にどのように対応したかが記載されていたが、国会提出資料にはそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。また、契約当初の文書にあった「特例的な内容となる」などの表現も消えていると報道されています。

 

もしも事実なら、公文書を改ざんした犯罪になることは免れないだけでなく、国民に対して都合の悪いことは伝えない現政権の体質、権力維持のためには国権の最高機関である国会をも欺く姿勢、平たくいえば、ちょっとまずいから隠しちゃえという国家中枢のありようが厳しく問われなければなりません。自分の子どもに「都合の悪いことは隠しちゃってもOKだよ」なんて言えるのか。そういう問題だと思います。

 

かつて地方自治に関わった者として、このような悪弊は地方自治にも伝播し、日本社会全体に暗い影を落とすことを危惧しています。国政でもやっているんだから、自分たちもちょっと位いいのではないか。国政ほどはあくどくはやっていませんよ。こんな言い訳が聞こえてくるような気がします。

 

 

 

10年ほど前までは、役人の天下りをそのままにしておくべきでないという世論が高まっていました。天下りにメスを入れるという期待もあって政権交代がなされましたが、120%の期待外れに終わり、安倍政権誕生後はその議論はなりを潜めてしまい、逆に天下り復活のような状況になってしまっています。

 

現場を離れて長く、現状は不明ですが、当時は地方自治体でも退職公務員の天下りが当たり前のように行なわれていました。優秀な人材の登用は当たり前、といった説明が当たり前のようになされるだけでなく、中央省庁のように天下り後の給料は高くないとか、わたりによる退職金はもらっていないから悪くないといった言い訳までされていました。

 

国でやっているんだから、地方でも少し位いいじゃないか。この感覚が、日本の行政機構の偽らざる雰囲気だと思います。中央集権、上意下達の弊害だと思います。今回の件も、もし事実なら、日本社会にかなりの悪影響を及ぼしていってしまう問題だと危惧します。

 

また、私も地方議員時代、行政事務の調査の際、事務の経緯や裏付けを求めるために決裁文書の提出を求めることがしばしばありました。押印された決裁文書の写しが手元に届く訳ですが、それが原本と異なる、改ざんされていると疑ったことは一度もなかったと記憶しています。そしてもちろん、改ざんはなかったと思います。国民から選挙で選ばれた議員が行政のチェックを行なうというのは民主主義の根幹。国民の代表である議員に改ざんされた公文書が示されるなどということは、民主主義社会の根幹を揺るがす大問題であることは、論を待たないものと思います。

 

麻生財務大臣も財務省も、誤報であれば誤報といえばいい。その場合は、報道した朝日新聞は厳しい批判を甘受しなければなりません。元の決裁文書と国会提出文書を並べてみせて、何の改ざんもないと明らかにすればいい。ただそれだけのことだと思います。

 

しかし、麻生財務大臣も太田財務省理財局長も「捜査中」を理由に文書の存在の有無についての回答を拒否。自主的な調査も拒否。その後、厳しい追及を受けて、調査して6日に国会に報告と態度を変化させたものの、及び腰の姿勢は何を意味するのか。財務省自身による調査の報告を待ちたいと思います。

 

事実であれば、今後現政権のどんな説明も疑いの目を向けねばならず、さらに信頼できない政権ということにならざるを得ないと思います。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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