「地域おこし協力隊」という政策

 

こさいたろうの視点・論点 0029

2017/12/09

 

「地域おこし協力隊」という政策

 

先日、仕事をしながらラジオを聴いていると、「地域おこし協力隊」の隊員として岡山の山村に移住し、そのまま残って事業をしている青年が出演していた。東京で生まれ育ったというその青年は、やりがいを感じて過疎地域で暮らしている様子が伝わった。

 

「地域おこし協力隊」、移住者として山梨で暮らしているとよく耳にする制度だ。僕の周辺にも隊員やその経験者が結構いる。その多くは制度の趣旨を理解し、隊員の期間が終わったあとも定住して、その地域で暮らしている。

 

地域おこし協力隊の制度は、総務省所管の事業で、「人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘 し、その定住・定着を図ることは、都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化にも資する取組(要綱より)として実施されている。

 

具体的には、地方自治体から委嘱を受けた人が地域協力活動に従事するもので、期限は1-3年、上限で200万円の給料と200万円の活動経費が与えられる。地方自治体は、この費用を特別交付金で措置されるので、自主財源を充てる必要はない。

 

また、同制度は、「地方自治体が自主的・主体的に取り組むものであり、 総務省はその取組実績を事後的に調査のうえ財政上の支援措置を講じる…国に対する事前の申請等の特段の行為を要しない(要綱より)」とされている。

 

特別交付税措置、制度上は地方固有の財源だが、国が集めて配分するという実態を考えると、国の補助金のようなものだ。一体、全国で年間どのくらいのお金が使われているのか。しかし、ネット検索では簡単には出てこない。

 

一人あたり400万円として、平成28年度は全国で約4000人が委嘱されていて任期は上限三年なので、ざっと480億円が費やされている計算になる。

 

平成26年、安倍首相が山陰視察の際、地域おこし協力隊にいたく感激して、隊員数を三倍にしろと総務大臣に指示したそうで、安倍政権が続く限りは毎年このくらいの税金が投入されそうだ。

 

仮に20年この制度が続けば、総投入額は一兆円近くに達することになる。隊員数は8万人。平成28年度調査によると、この制度により任期を終えた隊員の定住率は60%とのことなので、この率を掛け合わせると4.8万人ということになる。

 

あくまで独自の推測ではあるが、20年で一兆円をかけて、都会から全国の過疎地域へたった5万人を移動させるという政策ともいえる。僕には、その場しのぎ、焼け石に水、問題の本質から目をそらしている政策というふうにしか見えない。

 

前述の、ラジオに出演された方や僕の周辺にいる人は、まじめに活動に取り組み、その後もその地域に住み、仕事をしている訳で、制度の成功事例と言えなくはない。しかし、一方で住民票だけ移動させて居住実体がないなど、不正とも言える事例も僕は知っている。

 

何もしないよりはよいのかもしれない。ただ、こんな税金の使い道で本当にいいのだろうか。真の費用対効果を測ろうという政治家や役人はいないのか。

 

日本全体の急速な人口減少、ともに進行する急速な過疎化、限界集落の激増にどう対応していくのか、そしてこの先どんな日本を作っていくのかという国家ビジョンを作ることがまず必要ではないのか。この政策からは、本質的に課題を解決する糸口は残念ながら見えない。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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