「稲田防衛相発言の本質」

こさいたろうの視点・論点 0005

2017/07/01

 

※ 今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。

※ 現在、数十人の皆様にご購読料(発行協力費)を頂いております関係から、公式サイトには冒頭部分のみ掲載させて頂きます。誠に恐縮に存じますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

※ ただし、今回は、多くの皆様に私の活動を知って頂く意味から、全文を公開する予定です。不定期で全文公開する場合がありますこと、ご購読者の皆様にはご了解賜りたく存じます。

※ ご購読下さる方は、こさい宛てご連絡ください。月額500円(一口)をお願いしております。電子メールにて全文お送り致します。

※ 政治の現場を離れて4年、内容的に皆様にご納得頂けるものが書けるか、いささか不安ではありますが、これまでの自らの政治活動を思い返しながら、頑張ります。また、いずれ、ご購読者の皆様に見える形の双方向のやり取りができるようなオンラインサロンのようなものの立ち上げも考えています。

 

 

「稲田防衛相発言の本質」

 

 

稲田防衛大臣、単なる失言で済ませていいのでしょうか。言い間違えとか、誤解を招く表現とか、本当にそういうことなのか。僕は、深く疑いの目をもって稲田氏を見ています。

 

弁護士であり、何期も国会議員を務め、自民党の政調会長も務め、大臣も二回。こんな華麗なキャリアを持つ人が、日本国憲法下において大臣の立場で投票依頼することがいかに重大なルール違反か、知らない訳がないと思うのです。知ってはいるけれども、心の中がつい表面に出てしまったのではないか、そう疑っています。本音は、一党独裁あるいは官僚独裁的な社会が望ましいと思っているのではないかと。

 

例の、右翼的思想を理念とする森友学園ともかなり親しい関係にあったようですし、要職に就く前の稲田氏の言動からは、東京裁判を否定し、教育勅語復活を念願する戦前回帰、明治礼賛を感じます。

 

戦前、明治維新以降の国家体制は、天皇の下の官僚政治であり、議会は協賛機関に過ぎない位置づけでした。国民が主権者であり、国会が国権の最高機関であり、国会議員は主権者である国民による選挙で選ばれ、多数を形成した勢力が政権を担う、という現体制とは真逆ともいえる時代への憧憬・礼賛の思いが稲田氏の心の奥底にはあるのではないかと疑わずにはいられません。

 

そう考えると、今回の稲田防衛大臣の発言は、稲田氏の本心に基づくものと思えてなりません。自らは、一強多弱の環境にある自民党政権の重要閣僚、防衛大臣。その任命権者である安倍首相から最も目をかけられている部下の一人であり、そんな自分が「防衛大臣として」「防衛省・自衛隊を代表して」、自民党候補者の応援をすることに何の問題があるのか。稲田氏の、問題発覚後の態度、上から言われたから発言撤回はするが謝罪はしないという姿勢、これらを見るにつけ、そのように思わざるを得ません。さらには、この発言を受けて菅官房長官も「撤回したのだから、全く問題ない」という主旨の驚くべき発言をしています。

 

僕は、日本国憲法を支持しています。国民主権、戦争放棄、基本的人権尊重という憲法理念は、普遍的な価値と捉えています。国民が主権者としてその代表者を選挙で選ぶ議会制民主主義システムも、現段階では最善と思っています。主権が天皇にあった明治憲法に戻ってはならないと思っています。その立場の者として、今回の稲田防衛相発言は一大臣の問題にとどまらず、安倍政権そのものの基本姿勢の危うさを強く感じています。

 

安倍首相は自身の政治信条を巧みに隠しながら政権運営を行っているように思えてなりません。僕は、常々そう思っていました。

 

・ 本当は、長州が成し遂げた討幕クーデターを経て成立した天皇親政を装った官僚国家を理想としているのではないか

 

・ 本当は、満州・朝鮮をはじめとした過去のアジア諸国への進出(侵略)を反省することはなく、むしろ現代においても積極的に進出できる国を目指しているのではないか。

 

・ 本当は、森友学園よろしく、すべての子どもが教育勅語を暗唱するような、上意下達の統制社会を作りたいのではないか。

 

・ 本当は、ある程度の「パンとサーカス」で国民を懐柔し、権力者の意のままになるような国を作りたいのではないか。

 

少々、想像がたくましすぎるかもしれませんが、第一次安倍政権以降、安倍氏やそれを取り巻く人々の言動を見てきて、率直に感ずるところを述べました。特定秘密保護法も、新安保諸法も、テロ等準備罪処罰法という名の共謀罪の強化も、そして、今回の稲田氏発言も含めて、国民の自由が奪われ、一部特権階級による独裁的政治につながる危うさをどうしても感じてしまいます。真綿で首を絞められるがごとく、気が付いたらこんなはずじゃなかった、ということだけはどうしても避けなければなりません。だから、必要以上に疑いの目をもって権力者を見つめる必要があると思っています。

 

時、折りしも東京都議会議員選挙。東京都民しか投票できない選挙ではありますが、全国が注目する準国政選挙の側面も少なからずあります。選挙結果は、東京都の政治の行方を左右しますが、この先の日本の行く末にも大きな影響を与えます。

 

幸い今の日本では、政治の行く末について、自らの意志表示が可能です。国民の意志が明確に示されず、現状是認の空気が社会を支配してしまうことを、僕は今、最も恐れています。

 

少なくとも、大臣の立場を利用し選挙運動を行い、謝罪もなく、発言撤回でお茶を濁し、内閣としても全く問題なし、と言い切る危うい政権には、「それは到底受け入れられない」という意思表示をすべきだと僕は思っています。さらには、安倍首相や取り巻く人々の心の奥に潜んでいる本音についてもぜひ考えてみてほしいと思っています。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

taro@kosaioffice.com

080-4404-6781

〒408-0316山梨県北杜市白州町鳥原2637 TEL/FAX 0551-37-6663

〈Official Site〉 http://www.kosaioffice.com/

〈Facebook Page〉 https://www.facebook.com/tarokosaifarm

〈Twitter〉 http://twitter.com/taro_kosai

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。