来年度予算案の正当性を問う 第一回定例会の報告

2003(平成15)
港区議会 第一回定例会の報告

さる227日から318日まで、港区議会第一回定例会が行なわれました。
第一回定例会は、例年、翌年度の予算案の審議が行なわれます。
今回は、12月に基本構想が決定し(私たちは賛同していませんが
)

、それに基づいて基本計画(向こう6年間の計画)素案がまとめられており、それに基づく予算案ということで提案されました。したがって、単に翌年度予算ということにとどまらず、6年計画の中の初年度予算ということになります。
しかし、基本計画素案は文字通り素案のままで、議会では数回の審議に付されただけで、区民の皆さんとの議論もほとんど行なわれていない状況です。区役所としての最終意思決定も行なわれていません。とにかく、規定のスケジュールに合わせなければならない、というだけで予算が提案されてよいものでしょうか?
したがって、今定例会では、「来年度予算案の正当性を問う」をベースに審議に臨みました。また、区民の皆さんの間でも疑問や不安の多い、「大型開発動向と港区政」という観点からも、区長に歯止めをかけるべく臨みました。

以下、お知らせしたい事項をまとめましたので、ご一読ください。

 

4回開催される定例会の冒頭は、各会派の代表質問、一般質問を行ないます。みなとかがやきでは、2名の議員が交互に行なってきましたが、前回から時間を分け、「二人で一つの代表質問」としています。

慣例的には、質問者である議員が質問原稿をきっちりとまとめ、事前に役所側に提示し、区長の答弁を役所の事務方がまとめるという作業を行ないます。ですから、一見すると儀礼的な議論に映ります。ただ、この方法だと、質問に対する答弁について事前に調整し、より前向きな区長答弁を引き出すよう働きかけることが可能で、有用なときもあります。
しかし、原田区長となってから、施策以前に区長の資質や姿勢を問わざるを得ない状況であり、それを質す意味で、質問メモと質問の項目を事前に渡すにとどめ、単に原稿を読むスタイルでなく、できるだけ演説に説得力が出るように試みています。

 

 

みなとかがやき一般質問(要旨抜粋)

 
新たに500名規模の職員削減計画を策定せよ!
 質問 港区の職員数(2600人)は他区と比べてもまだまだ多すぎる。人口22万の墨田区も2500人の職員を500人削減する予定。現行計画の早期達成とともに、平成16年から10年間で退職予定者795人の7割にあたる500人を削減せよ。答弁 現行計画の早期達成に努力。一方、職員数適正化、総人件費抑制のため、新たな職員配置計画の策定を検討する。

昨年初め、「港区役所の職員は少なすぎる」と発言した原田区長だが、役所の職員はしっかりと現状を認識しており、今後の取り組みが確約されてよかった。それにしても、近隣で同じ人口規模の台東区より職員が1000人も多い状況はあまりにおかしい。今後とも、着実な削減が行なわれるようチェックを強める。

税金についての考え方

 質問 区長は「税金に付加価値をつけて返す」と繰り返し述べている。私達は「税金は払わせて頂いている」と考える方が、文化的で心豊かになると思う。個人が払った以上にサービスを受けられるという誤解をすでに招いている。「付加価値」発言の説明を求める。答弁 課税原則に対し「税金を付加価値をつけて返せ」と「税金は払わせて頂いている」がどんな関わりがあるか難しい問題。質問 「付加価値をつけて還元する」発言の説明がない。答弁 「簡潔で効率的な区政運営の実現」の姿勢・決意をわかりやすく表現したもの。

再質問までしたが、この発言をしている区長が、言葉の意味を理解して発言しているのか極めて疑問。税金で運営される役所は、支払の対価としてサービスを得る商売とは根本的に異なっている。税金が集まったらその分だけサービス提供するという発想は危険。必要な額はどのくらいかを計算し、その分だけ税金を預かるという考え方に立たなければ、いくら税金を頂いても足りることはない。

まちづくりの基本姿勢はいかに?

 質問 区長の所信表明に今後のまちづくりの方向性の記述が極めて薄いことに驚かされる。区民は近年の開発動向に懸念を抱いている。改めて、開発動向の評価を含め、まちづくりの方向を表明せよ。答弁 今後、街づくりマスタープランを見直すが、基本的方針は継承し、区民の意向を反映しながら取組む。

この質問は機会あるごとにしているが、答弁としては素晴らしいもの。ただし、区長は職員の作文を読んでいるだけなので、本当にそのように思っているのかいまだ明らかでない。現に、まちの様相は虫食い的に変化してきている。今後は、制度や仕組みを活かして乱開発に歯止めがかけられるよう提案していきたい。原田区長がそのような具体的行動をおこさないところにも大きな問題がある。

港区政改革の基本姿勢は?

 質問 区長は所信表明で、「日本全体が閉塞状況にある」とし、「これを打破するために、さまざまな分野での改革に向けた取組みが始まっている」と述べた。この視点で港区政として何をしているのか、何をしようとしているのか、方向性が全く示されていないのは大問題だ。答弁 今後、区民とともに明るく躍動感あふれる社会を創ることが私の使命。

書き忘れましたが、例年第一回定例会では、区長が自らの思いを述べる「所信表明演説」が行なわれます。今回は、いつもよりだいぶ長い原稿だったのですが、ほとんどが「これをやりました」と「これをやります」という羅列、各部に書かせたものを縦割り的に読んでいただけで、自らこんな区政にしたいという思いや基本方針は述べられませんでした。述べられないならまだしも、その辺りから取って付けた流行の言葉を並べたかのような言い回しには、残念な気持ちを押さえられませんでした。方針無き区政は、「羅針盤の無い船」「行き先の無いバス」と同じです。危機的状況です。

前定例会までの本会議での質疑、予算・決算審議は以下のサイトでご覧頂けます。ご関心のある方はぜひどうぞ。

区議会一般質問、予算・決算審議議事録検索システムはこちらから

この度の審議ではまず、基本計画正式決定のないまま提案された本案が正当性を持たないことを質しました。さらに大幅な余剰を生んでいる財政状況を指摘し、減税による区民還元を提案しました。その他は、以下のような項目を取り上げました。  鳥居坂周辺の開発動向に港区が利用されることなきよう、極めて慎重に対応せよ。
学校給食の民間委託を推進せよ。
学校用務職も民間委託すべき。
運転職員の具体的削減方法を明示せよ。
消防団出動手当二五〇〇円は安すぎる。
区長交際費五百万円は高すぎる。
環境教育の充実と学校制服の自由化。
エコマネー導入に向け積極的取り組みを。

  

来年度予算の正当性を問う(総括質疑)  

私たちはこれまでの各款審議において、現在審議中の予算案の正当性について取り上げました。来年度予算は、基本構想・基本計画を踏まえて本格予算として編成されています。しかしながら、基本構想は多くの議論の末、第三回定例会(12)の議決となり、賛成多数の可決、しかも議会による修正付きという異例な状況での決定でした。また、その後区民との議論の末決定されるべき基本計画も、言い訳程度に説明会を開いただけ、議会審議も不十分なまま予算案を庁議決定し、プレス発表、議会への提案に至りました。そして、基本計画の庁議決定もないまま予算審議がなされているのが只今の状況なのであります。果たして、これで正当な本格予算案といえるのでしょうか。これまでの審議で財政課長は、「予算編成方針の庁議決定からこれまで、とにかく本格予算を作って第一回定例会に提案するという上層部の流れだったのか」という主旨の質問に、「そういう状況でございました」と答弁し、基本構想や基本計画の審議状況を全く考慮せず、「どんなことがあっても本格予算を編成する」というかたくなな姿勢だったことが確認されました。単に、日程と区長のメンツのみで予算編成がなされたことが明らかになったのであります。そして、最大の問題は、この度の予算編成の基本的認識と異例な状況についての説明を区長に求めた際、「資料がないから答えられない」とした点であります。予算提案の責任者である区長が、この度の予算提案についての状況や問題点を全く理解しておられないことが確認されてしまったのです。区政の最高責任者である区長が状況を理解していない中で、果たして本格予算を提案できるのでしょうか?区長は、基本構想策定までの議論において、あらゆる方面から、さまざまな異論・懸念・心配などが表明されたことを重大に受け止めるべきです。その上で、基本計画策定については、予算提案の例年の日程の慣例にとらわれず、区民参加を十分行なう仕組みの中で進められるべきであります。以上のような理由から、現在審議中の来年度予算は、本格予算としての正当性を認めることはできません。減価の状況を冷静に受け止めるならば、来年度予算は当面暫定予算とし、基本計画の十分な精査を経た上で、慎重に予算計上していくべきであります。この点について、区長の答弁を求めます。
区長の答弁<要旨>

平成15年度予算案は、昨年12月に策定された基本構想の区議会での審議を踏まえ、新基本計画・実施計画<素案>を尊重し、編成した。
区の財政運営は、常に継続と安定が求められ、区民生活の停滞は一刻たりとも許されない。15年度予算案は、区民が不安を抱くことなく、安心して快適に暮らせるよう、年間総合予算として編成した。
予算編成後に寄せられた意見は、趣旨を今後の財政運営にできるだけ生かす。


みなさまどのようお感じになるでしょうか?

本案は新基本計画の正式決定のないまま、それに基づき編成・提案されており、本格予算として認められません。このような悪例をつくり、区民不在の区政を続ける区長を信頼することはできません。今後、政策のチェックを強める決意を表し、一般会計予算は反対、その他三案(国民健康保険事業会計・老人保健医療会計・介護保険会計)は賛成とします。 

今議会で、もう一点、特に詳しく取り上げたのは「まちづくり」の問題です。以前、区立東町小学校の隣地にマンションの建築計画が立てられ、日影の影響を大きく受ける学校関係者の強い要請で、M社に購入してもらったという経緯がありました。ということで、現在に至っているのですが、そのM社の土地と鳥居坂の開発計画地内にある港区の土地(グラウンド)を交換するような動きが昨年あったのです。
鳥居坂界隈は、港区でも有数の閑静な文教地区で、そのたたずまいを保全すべきゾーンです。港区の「街づくりマスタープラン」でも同様の方向性を謳っています。そこに浮上しているのが、超高層型の再開発計画です。
私は、今の開発の動向に一石を投じる意味で、また、昨年の危うい動きの記憶もあり、「東町小学校隣地」と「鳥居坂グラウンド」を交換することがないか確認すべく質疑に臨みました。結論から申し上げると、区役所からははっきりした回答が得られなかったということです。つまり、交換するとは言いませんが、交換しないとも言わないのです。開発への歩みが着々と進む中で、このような姿勢には疑念を感じざるを得ません。そこで、議会として、交換を行なわないよう何らかの取りまとめをすべきと提案し、以下のような区長への要望書が全会一致で可決され区長に送付されました。議会全員の意思として要望書を提出できたことは大変よかったと思っております。さて、鳥居坂地域だけでなく、今港区では、大小さまざまな開発が目白押しです。ただ、現行ルールに基づく計画を立てられてからでは、ほとんど計画を変更させることはできません。
これからは、地域住民が主体となり、「自らのまちのルールを自らで決める」ことが求められます。現に、世田谷区や江戸川区などでは、絶対高さ制限を設ける準備を進めていますし、横浜市では、地域住民が自らルールづくりできるような支援を始めています。私は、今後、まちのルールづくりについて、区民の皆さんと一緒に考えられるよう、仕組みづくりに努めたいと思っています。

平成十五年度予算特別委員会における審議をふまえ、以下の点について要望します。1 教育委員会から要請のあった東町小隣地の取得については、区議会区民文教常任
 委員会におけるとりまとめを重大にうけとめ、鳥居坂グラウンドをはじめ、他の区有地との交換という手法を用いないこと。2 区有地である鳥居坂グラウンドは、貴重な区民の財産であり、鳥居坂周辺の開発動向に取り込まれることなきよう十分慎重に対応すること。

  年  月  日                平成十五年度予算特別委員長名 港  区  長  あて

 

 


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