家具の転倒防止器具・現物助成をはじめる(4月から)

大地震の際に家具が倒れたり、ガラスが割れ散ったりすることによる被害を抑えようという趣旨で、港区では本年度、それらを防止する器具(たんすと天井の間に渡す突っ張り棒やガラス飛散防止フィルムなど)を現物で助成(無償配布)する制度をはじめた。1246万円の予算を計上している。

港区民でもある当誌主筆の小斉太郎が実際に申し込むことで、この制度の内容や課題などについて検証した。


「こさいたろう・転倒防止器具を申し込んでみる」


新聞に折り込まれている港区の広報紙を確認後、記載の通り近くの赤坂支所に電話で問い合わせてみた。担当の職員さんと話すと、申し込むには直接窓口に足を運ぶことが必要とのこと。平日の九時から五時の間に来て下さいと言われる。総額15,000円分にもなる高額な助成だけに、申込みのハードルが高いことは致し方ないのだろうか。でも、一人暮らしや共働き夫婦の世帯は、平日の日中に役所に足を運ぶのはほぼ無理だろう。彼らがこの制度を使うことは、事実上できないと感じた。

さて後日、芝公園の区役所本庁舎に用事があったついでに申込み窓口に立ち寄ってみた。赤坂支所地区の住民でも申し込めるとのことだったが、新たな問題発生。

この制度、品物リストがあってその中から自由に選べるようになっている。リストには値段のかわりにポイントが設定され、一人150ポイント分を選ぶしくみだ。私が目をつけていたのは、たんすと天井の間に取り付ける「突っ張り棒」。実はこの「棒」、天井との距離によって三種類あり、あらかじめ自宅のたんすと天井の距離を測っていく必要があったのだ。測っていない私は品物を選ぶことができず、やむなく出直すことになった。

さらに後日、今度は赤坂支所の用事のついでに窓口に立ち寄った。今度は、たんすと天井の距離をバッチリ測り、パンフレットとも照合して準備万端。所定の用紙に必要事項を記入して、五分で終了した。はじめから確認できていれば、二度手間にならずに済んだ。

数日後、役所から「助成決定通知」というものが届いた。いかにも役所の手続きだ。そして、さらに数日後、宅配便のダンボールで、無事「突っ張り棒」三組が到着。早速開梱し、取り付け。そんなに難しいことはなく、30分程度で三脚すべての取り付けが完了した。デザイン的には美しいとはお世辞にもいえないが、棚のがたつきはなくなり多少の揺れには耐えてくれそうな感じになった。いつも気にはしていたのだが、そこそこの値段である転倒防止器具、これまで自分で買って取り付けるには至らなかった。今回、港区のこの制度がいいきっかけになったことは確かだ。

でも、一方で多少の疑問というか不安も残った。このような事業を行えるのも、港区の財政が豊か過ぎるほど豊かだからだ。窓口の職員さんに、「早く申し込まないと締め切られてしまいますか?」と質問したところ、「区民のみなさんのためになる事業なので、予算が足りなくなれば追加するように検討している」との答えが返ってきた。私としては、今回「突っ張り棒」を取り付けたことにより安心が得られた訳だが、「区民のためになる」を合言葉にこれと同じような事業が膨れ上がるのもいかがなものだろうか。なにせ一人あたり15000円分の高額助成なのだ。何が必要で、何が必要でないか、厳しい目で精査することが何よりも必要である。助成を受けた身ながら、改めて「税金の使い方」のチェックの重要性を考えさせられた。

大汗をかきながら取り付けが終わり一休み。その時ふと考え込んでしまった。「これを区役所からもらってネットオークションに出している不届き者はいないよなぁ」と。コンピューターの前に向かったが、自分が恩恵を被っている手前、すぐに調べることはやめておいた。