麻布十番公共駐車場の課題
公社不要論と港区の責任
麻布十番公共駐車場は平成11年開業。港区が保有率70%超の筆頭株主である株式会社みなと都市整備公社(以下公社)が運営している。
計画段階から区役所の経営予測の杜撰さが明らかとなり、区議会を二分する大論争となったが、賛成者が辛うじて多数を占め開業に至った経緯がある。港区は、80億円を超える債務保証をすることで建設費用を調達したが、開業後には懸念の通り公社における返済が事実上不可能となり、港区は各種の対策を講じることとなる。この時、区民に謝罪の上で税金を投入し公社を清算する好機であったであったはずだが、借金の一部を区が負担した上で公社の努力に期待するといった中途半端な対応となってしまった。
この数年、議会でこの問題を取り上げる議員はほとんどいなかったが、久々に矢野議員が真正面から取り上げた。矢野氏の議会質問における指摘の通り、現在の実質的な駐車場運営は公社から委託された民間企業が行っており、公社を港区と委託先との間に介在させる意味は全くない。そればかりか、港区は「公社支援」を名目に区有地を公社に無償で貸付け、公社は民間企業に運営を委託し、その収益のすべて(土地代が無償なのでまるまる利益)を公社の収入として借金返済に充てさせるなど、手の込んだスキームを作っている。区民の財産である土地から得られる利益が、知らないうちに駐車場建設の借金の返済に回るのである。麻布十番駐車場問題の本質を隠す如き動きと捉えられても仕方がない。さらに付言すれば、公社の実質的経営者は港区役所の管理職OBであり、天下り組織との非難も免れない。
矢野氏は今回、明快なスキームを示して公社を解散させる提案をした。しかし区長答弁は、公社の存続をほのめかす内容だった。なぜ、公社を解散してけじめをつけることができないのか、区長は区民に対する説明責任を負っているはずだ。質問に対する答弁が明確にできない状況であれば、この質問を受けて十分に議論して、早期に明確な回答をする義務がある。
いずれにしても、公社を存続させることは、計画立案段階までさかのぼる港区の責任を曖昧にしてしまう。それだけでなく、現在の稼動は好調であっても、いずれ訪れる駐車場機器の更新時期には、また莫大な費用が必要となる。長期的視点を忘れることなく、過ちは過ちとしてしっかりと認め、今後港区が責任を持って駐車場経営の将来予測と財政負担の規模について、区長は区民の前に明らかにしなければならない。