都民は消極的に現状維持を選んだ。
自民は三議席減らしたものの、公明は二議席増。民主は倍増に近い三五議席を獲得したが、自民・公明の盤石な与党体制に変化はなかった。
投票率は史上二番目の低さ、多くの都民は投票を棄権した。
今回の都議選からは、東京の将来像や日本の中の東京の役割など、大局的な論議はほとんど聞こえて来なかった。残念なことだ。若者、都市生活者、消費者の立場を有する多くの都民の共感を得るビジョンや政策の提示がなかったことが原因と推察する。
ただ、目に見えぬ変化は着実に進んでいる。
自民党は今回で三期連続の総得票数の減少となる一方、民主党は逆に右肩上がりに総得票数を伸ばしている。特に、今回は新人・若手に期待が集まった傾向にある。低投票率の中でのこの変化は、自民党支持層の基盤であった健全な保守層の自民離れを如実に表している。今後、多くの都民の共感を得るビジョンや政策の提示がなされれば、さらに大きな変化につながる可能性を秘めているといえる。情報の公開を進め、説明責任をしっかり果たし、都民の政治への信頼を高めた上で、未来志向の大胆な政策を打ち出せれば、政治への期待は確実に高まるはずだ。都民の期待は、政治家・政党が考えるよりも高次元にあるように思う。
投票に参加した人も棄権した人も、実は「共感」に飢えているのではないか。
「消極的な現状維持」は止むを得ない判断、本当は「共感」できる候補者に自らの一票を投じたいと願っている。「共感」できる候補者がいないからこそ「棄権」に至っているのではないだろうか。今こそ「共感」を求めるべく新議会は、大胆な都政改革実現のための大局的議論を展開し、都民に発信すべきである。
最後に「棄権」についてふれたい。
選挙の結果を見て明らかなように、「棄権」は「現状維持」をもたらす。もう一歩踏み込めば、選挙を棄権するということは政治の現状を信任していることに他ならない。棄権する者の意思にかかわらず、厳然と結果として表れる。選挙の結果は都民の意思として受け止めなければならないが、もしみなさんが改革を、変化を求めるならば、投票行動を棄権しないでほしい。さらには、共感できる政治家がいなければ、私たち自らが、共感できる政治家を生み出す原動力になりたい。 |