平成14年度予算特別委員会総括質問
みなとかがやき
担当:小斉 太郎 |
みなとかがやきを代表し、総括質問を行ないます。
14年度予算編成方針では、「区民ニーズもますます多様化し、新たな行政需要に伴う財政負担は確実に増加するものと見込まれます」と記述されています。また、予算編成基本方針では、「区民ニーズや費用対効果の低い事務事業の見直しを行ない、施策の再構築を進める」としています。一方、区長は、就任当初の所信表明や14年度予算案の議会への提案説明の際に、「区民の皆様から頂いた貴重な税金を付加価値をつけて区民に還元できるような区政運営を目指す」と述べ、本委員会の質疑においてこの発言の説明を求められた際は、「区民に喜ばれる区政を目指す」と発言しました。
これらから読み取れることは、「区民ニーズ」とはあくまで財政負担の伴う「需要」であり、その「区民ニーズ」が高いか低いかを事業や施策の再構築の基準とするということ、さらには、「区民に喜ばれる」よう、その「区民ニーズ」にこたえる区政運営を目指すということではないでしょうか。
私たちは、財政にある程度の余裕が生じ始めている今、「区民ニーズ」の名のもとに無原則で垂れ流し的な行政運営がなされることはないか、一抹の不安を感じています。実は、「区民ニーズ」、この一見魅惑的で曖昧な表現が、区政のあり方や方向性を定めるための本格的議論を阻害してはいないでしょうか。
「この施設がほしい」「この補助金を出してほしい」というのは確かに「区民ニーズ」でしょう。しかし、一方で、「そんな施設は要らない」「その仕事は自分たちでやるから役所でやらなくてもいい」などの区民の声も、逆の「区民ニーズ」ではないでしょうか。さらに言えば、私たちが各款審議で取り上げたように、「役所の仕事は減らして税金を下げてほしい」ということだって、「区民ニーズ」といえます。
今なすべきは、さまざまな「区民ニーズ」があることを理解した上で、「役所はどこまでの仕事をすべきなのか、税金は何に使われるべきなのか」という本質的な議論ではないでしょうか。そして、区長がその方針を明確に打ち出すことが議論の大前提となります。しかし、残念ながら、区長の基本的な姿勢は示されていないばかりか、「区民に喜ばれる区政を目指す」という発言が象徴的ですが、「区民ニーズ」という言葉で、区政の方向性を八方美人的にぼかしていると指摘せざるを得ません。
これまで述べたように、今の港区政は、金さえあればどんどん「区民ニーズ」に応えるという流れを感じざるを得ません。「区民ニーズ」についての区長の見解を質すとともに、行政の守備範囲についての本質的で本格的な議論が必要であるという私たちの考え方に対する区長の見解を伺います。さらに、この際、区長の考える行政の守備範囲について明確に提示願いたいと思います。 |
私たちは、港区は将来どういうまちであるべきかというグランドデザインを描くことが、区政に求められる究極の役割だと確信しております。しかし、時代の転換期を迎えている今、その前に、「役所のあり方」や「税金の使い方」について徹底的に論じ、これまでの行政運営のあり方を総括する必要があると感じています。そして、一定の原則に基づき、これまでの役所の仕事すべてを一つずつ丁寧に検証し、改革することから始めなければならないと思います。
私たちの主張する原則の一つは「民間に任せられるものは民間に任せる」ということであります。民間に負かすといっても、民営化から民間委託までさまざまで、多くの分野において検討が必要と思っていますが、この原則を即時に適用すべきは、これまで、いわゆる技能系職員が担ってきた分野であります。これまで、私たち以外にも多くの議員が取り上げており、もはや議論の余地はほとんどないと考えています。
本年の予算審議にあたっては、電話交換業務について取り上げましたが、これも含めて、これまで取り上げてきた、運転、警備、調理、また技能系ではありませんが、児童指導、土木、清掃の分野についての今後の取り扱いについて、どのような方向性を持ち合わせているのか、また、実際に民間に委託する計画が進行しているのか、それぞれお答え頂きたいと思います。
私たちの主張する原則の第二は、区民との協働関係の構築です。この点については、二つの事例を紹介しながら、港区政の方向性を質してまいりたいと思います。
まず一点目は、埼玉県志木市の取り組みです。報道によると、志木市では、公共施設や市役所の窓口に、正規職員の代わりに臨時職員の「有償ボランティア」を積極的に配置する方針を決めたようであります。個人情報の扱いや守秘義務、公金の取り扱いなど課題もありますが、市長は「法的にどこまで可能かつめたい」としています。経費削減だけでなく、市役所と市民が協力して行政に携わる仕組みの可能性を探ることも大きな目的だということです。この取り組みは実現してはいませんが、市民との協働を目指し果敢に挑戦している事例として注目に値します。私たちは、窓口業務の民間委託化について提起したことはありますが、港区でも、福祉会館や区民センター、図書館など、区民の方に積極的に参加頂くことも検討されてよいのではないでしょうか。
この事例に接しての区長の見解を伺います。
なお、志木市では、市民の市政への積極参加を促すため、「市民が創る市民の志木市」の実現を目指して、市民が主体となって行なうまちづくりを推進するために、志木市民委員会を発足させています。限られた財源で、より効果的な市政を運営していくために、現在の制度や考え方、あるいは、実施しているさまざまな施策や事業を、市民の立場、視点で調査研究し、批判や提言をしてもらうための組織で、公募により応募された252人全員が委員となり活発に活動されているようです。市長の明確な姿勢とリーダーシップによって市民参加の政治が進められている点に注目しています。
二点目は、計画段階からの市民参加であります。この点に関しては、以前、板橋区で行なわれた公園整備の計画段階からの区民参加の事例を紹介しましたが、その後も、参加された区民の方々が中心となり、地域の庭として自主管理が続けられているそうであります。一方、国土交通省では、PI(パブリック・インボルブメント)の手法を積極採用しています。PI制度は、プロジェクトの事業化段階ではなく計画段階から市民参加を求めるという点で、従来の「住民参加」と大きく異なります。また、利害のある近隣住民だけでなく、関心のある人や団体の参加も促し、より幅広い意見を取り入れようとしている点が特徴です。私がこの制度を知ったのは新聞記事で、国土交通省が横須賀市における海岸整備に採用するというものでした。同省では、憩いの場の作り方や植える植物の選定、手すりの高さなどあらゆる部分に意見を取り入れたい考えであるという内容でした。PIについて私自身も調べてみたところ、世田谷区におけるまちづくりや横浜市における都市計画道路の整備など、多くの地域で事業に即したかたちにアレンジしながら採用している事例は少なくありませんでした。市民が計画立案段階から政策形成や政策決定に関わることは、行政にはない市民の経験や能力を発揮して頂くことであり、より利用者の感覚に近い事業化が期待できます。さらに、関わる市民が増えることで、その後の行政運営にも素晴らしい影響をもたらすことが期待できます。また、PI制度に関連して、公共用地などの緑化や整備を住民の手に委ねる「コミュニティーガーデン」の活動も、NPOなどを中心に各地で動きを見せているようであります。来年度、港区では戦略事業推進室を設置し、NPOとの協働を進めるための体制を整えます。今後、公園等の整備も、従来のように行政で計画し近隣に説明するという形ではなく、計画段階からの住民参加を試みるべきではないでしょうか。ちなみに、今紹介した両制度とも、欧米ではかなり浸透・普及しているようであり
PIやコミュニティーガーデンに対しての区長の見解と今後の導入の可能性について伺います。(今後予定される用途地域見直し作業の際にも有効に活用すべきと考える)
なお、各款審議でも触れましたが、私たちは道路や公園管理の里親制度(アダプトシステム)について導入を求めており、来年度には要綱による制度化が実現しそうです。今回取り上げたPIやコミュニティーガーデンはまさにその次に手がけるべき課題であります。区民の区政への参加という視点からも前向きな答弁を期待しています。
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次に、国民健康保険のあり方について伺います。
去る2月8日、千代田区が来年度の国民健康保険の保険料率を独自に算定することを決めました。時間の関係上詳細な数値はあげませんが、所得割率を他区よりも引き下げるという内容で、実質的には、中堅所得者層の負担軽減となります。ご案内の通り、一昨年の都区制度改革によって、特別区は基礎的自治体として国保事業についても自主運営が可能となりましたが、特別区の特殊性等から「区長会方式による統一保険料方式」を採用し、現在に至っています。私たちは、基礎的自治体として独自の運営をすべきと主張していますが、当時の菅谷区長もその理念には賛意を示し、当時の区長会での決定の際にも「当面の間」という文言を挿入することを主張し実現した旨、議会で答弁しておりました。現行の「区長会方式による統一保険料方式」では、特別区間の財源不足の補正があるため、都心区では、所得割料率が固定されることにより、保険料に占める所得割の割合が10ptほど高くなる傾向にある。つまり、所得割での負担が発生する中堅所得層に大きな負担を担わせることになるのです。ちなみに、特別区の基準賦課割合は、所得割63に対して均等割り37であるが、港区の来年度の数値は、69:31であります。統一保険料方式は公平そうに見えて、実際はそうでもないということなのです。私は、今回の千代田区の決定に重大な関心を寄せています。千代田区では、「区長会で23区統一の目標値を定めるが、目標値に沿うかどうかは各区の判断で条例化するもの」とし、少し強引な感は否めないが、これまでのあり方に一石を投じたことは確かであります。先に述べたとおり、港区の状況は千代田区と近似しており、今後、国民健康保険の独自運営に向けて行動を始めるべきと考えます。まさに、それが基礎的自治体としてのあり方ではないでしょうか。
このたび、国民健康保険料率を独自に算定した千代田区の決定についての区長の見解と、今後の特別区における国民健康保険の運営方法についての考え方を述べて頂きたいと思います。また、現行の健康保険制度では、制度の違いや国保の保険料の地域格差などから、不公平感が募っており、国レベルでは制度の一本化も議論されています。この点についてもご意見があれば伺いたいと思います。
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次に、児童館・学童クラブの今後のあり方について伺います。
この問題については、前回の基本計画改定、エンゼルプランの策定の直前に取り上げたことがありましたが、抜本的な見直しが行なわれず現在に至っております。本予算委員会では、来年度赤坂に新しいタイプの児童施設が誕生することから、いくつかの質疑がありました。私は、赤坂の新児童施設では運営を民間(社会福祉法人)に委託する方向が示されており、これを機に、児童館・学童クラブの改革に着手すべきとの立場で質問いたします。
まず、児童館・学童クラブの運営の極端な非効率性について述べたいと思います。
平成12年度決算ベース、児童館の管理運営経費は総額で約1億279万円、人件費は総額約7億9700万円、合計すると約9億円となります。一方で、児童館利用者は、全12館合計で延べ275,577名となっています。単純に割り返しますと、利用者一人一回あたり、約3229円となります。これは、延べ人数で割り返していますが、実際には、児童館利用者の36%は学童クラブの児童でありますので、550名ほどの児童のために極めて多額な費用負担をしていることになります。(一人年間577,070円)
児童館利用者(学童分)÷学童在籍者×一回あたりの必要経費→学童の子供一人年間にかかる経費
しかも、職員は、学童クラブの児童20名につき一名という港区基準があり、全12館で96名という膨大な数となっているのです。さらに、蛇足になりますが、土・日はお休み、夕方5時まで、学校のある日、つまり長期休暇以外は、午前中の業務量は極めて低いのです。
また、最近では、学校における「子供放課後・週末活動支援事業」が始められ、文部科学省も来年度からモデル事業を指定し補助金をつけることも行なうようです。私も以前、世田谷区のBOPについて取り上げましたが、品川区でも昨年度より「すまいるスクール」という名称で、学校を活用した放課後対策事業を始めています。BOP、すまいるスクールは、両者それぞれ特色を出しながら進めているようですが、その目的や活動内容は、児童館・学童クラブに大きく重なる部分があります。しかも、地域住民との協力、のびのび遊べる環境、大学生等の活用や先生の協力による人件費の大幅抑制など、これまでの硬直した運営の児童館にはないメリットが多数見受けられるのです。
時間に限りがあるので多くは語れませんが、私は、次のような改革が必要であると感じています。
@児童館における正規職員対応の見直しと民間委託化の推進。A学童クラブについて、学校の放課後関連事業と統合できないか検討を始める。(当然、教育委員会の決断が必要)B協議の上、放課後関連の事業は学校を活用する。Cその上で、児童館を大幅に統合し、学童クラブ事業という一部特定の事業以外の部分での発展を図る。(現状はあまりに学童に偏りすぎている)D統合の際は、地域コミュニティーの構築や、世代間交流の教育的意義も勘案して、単独の施設としない。(今はあまりに閉鎖的だと思う)
以上の見解について、区長はどのように考えるか、また、児童館・学童クラブ改革の必要性について問題意識があれば伺いたいと思います。あわせて、教育委員会には、放課後対策事業についてどのように捕らえ、今後、取り入れていく考えはあるかどうか、世田谷・品川の事例についての感想も交え、お答え願いたいと思います。
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次に、緑を増やすことに関連して伺います。
杉並区では先日、区立小学校2校の肯定の緑化、すなわち芝生化を試行的に実施しました。その模様はNHKニュースでも取り上げられたのですが、画面から伝わってきたのは、気持ちよさそうに寝そべったり駆け回ったりする子供たちの姿でした。みな一様に満面の笑顔でした。気になる費用は、全面整備をした学校で3341万円、一部整備の学校では、950万円ということです。この先の維持管理等の費用も心配になりますが、来年度予算では2校あわせて約300万円ということです。なお、細かな手入れを必要とする西洋芝を全面採用した和泉小学校では、家庭・地域・学校が連携する「和泉グリーンプロジェクト」を結成し、ボランティアで維持管理を行なうそうであります。自然と触れ合うという教育的効果は勿論、防塵効果やスポーツ時の障害防止、さらには、防災機能を担うことも期待されます。平成11年度現在、全国小・中学校60校で芝生化が行なわれていますが、芝生化をきっかけとして、いずれも、学校の一層の開放が進み、地域との関係も深まる傾向にあるようです。
また、都市部特有の効果として、ヒートアイランド現象対策もあげられると思います。芝生化にあたり、杉並区長の山田宏氏は昨年6月、子供たちにこんなメッセージを贈っています。
6月中には全小中学校の「暑い教室」に扇風機を設置します。これは毎年12月に開かれる「子ども区議会」で、多くの小中学生「議員」から「クーラーを!」との強い要請によるものです。でも、とりあえず扇風機で頑張って!そしてもし校庭が「芝生化」したら、校庭からの反射熱も下がって、君たちの教室はもっと涼しくなると思います。
暑いから、学校にはとにかくクーラーを設置しろという声も一部あるようですが、今回取り上げた校庭の芝生化を始め、それを含めた一層の緑化、また、渋谷区で進められようとしている校舎屋上の緑化など、子どもたちの健康を考えても、都市全体のエネルギー消費抑制の観点からも非常に有効な手法ではないでしょうか。一方で、東京都では、来年度より芝舗装化を進めるとしており、まず初めに東京体育館前のコンクリートをはがし芝舗装を実施するそうで、ヒートアイランド対策として、土・芝や植物の効用を積極的に活用しようという試みは一気に具現化する様相を呈しています。
今定例会においては、杉原議員より、後者の木造化の可能性についての質問もありましたが、やはり、21世紀に入り、20世紀に進めてきたコンクリートジャングル化からの脱却を少しずつでも図っていくことが必要であると私も思っております。
学校校庭の芝生化について、教育委員会の見解を伺うとともに、学校設置者である区長の見解も併せてお答え願います。 |