港区政の明日を考えるシンポジウムのご報告
去る2月23日(土)、東京・六本木の国際文化会館において、標記シンポジウムが開催されました。当日は、約60名の方に参加頂き、盛会のうちに終了することができました。ご出席頂きました皆様、また、ご出欠の返信を頂きました皆様、誠にありがとうございました。まず、御礼を申し上げます。
今回のシンポジウムの主催は「新たな港区政を考える会」という区民有志のグループでありましたが、私もメンバーとして参加していることから、第二部パネルディスカッションの進行役を務めました。
私個人の会ではなかったわけですが、非常に有意義な内容でしたので、皆様に概要をご報告させて頂くことと致しました。
なお、今回の報告は、私なりの要約とさせて頂きます。当日の内容詳細については、現在テープ起こしの作業をしており、作業終了次第、議事録を作成することとなっております。少し時間がかかると思いますが、ご希望の方はぜひご連絡下さい。
当日の次第
第一部/私が思う港区の問題点
一般の区民の方4名に、それぞれ日頃思っている港区政への問題提起をスピーチして頂く。
スピーカー
・
清原 元輔さん(南麻布在住・当会会員)
・
杉浦 教夫さん(西麻布在住・会社経営)
・
堀
信子さん(新橋在住・港区心身障害児・者団体連合会会長)
・
秋本
穣さん(赤坂在住)
テーマについては、スピーチを直接お聞きください。
第二部/明日の地方自治を考える(パネルディスカッション)
改革派知事率いる先進自治体のさまざまな事例を伺い、港区政の明日を創るためのヒントをさぐる。
また、第一部で提起される港区政の問題点について、議論を深める。
パネラー
・
村尾 信尚さん(財務省国際課長・元三重県総務部長)
・
阿部 守一さん(長野県副知事・元自治省理事官)
・
湯原 信一さん(港区議会議員)
・
四分一 勝さん(当会代表)
進行役/小斉 太郎(港区議会議員)
質疑応答の時間(会場からの質問にパネラーが答える)
シンポジウム第一部
−私が思う港区の問題点《一般区民の方々の問題提起》−
区民の方々にはそれぞれの立場でさまざまな考え方があると思うが、時間の都合もあり、予め4名の方に依頼し、日頃感じている港区政の問題点について語って頂いた。なお、第一部の問題提起を第二部のパネルディスカッションの中で活かすという趣旨も含んでいた。
清原元輔氏
区役所の審議会等の委員の選任方法に問題あり。
役所に都合のいい人選が多く、また、一人の人物が複数の委員を兼任するなど、限られた人物でしめられてしまう傾向にある。役所の問題も根深いが、区民一人ひとりの見識も大いに問われていると思う。
杉浦教夫氏
今のまちづくりは、「住む・生活する」という視点にかけているのではないか?
区外から「どうだ、すごいだろ」と思われたいかのように見受けられる。それよりも、住民の意志に基づいたまちづくりが必要で、将来を見据え、いったん立ち止まって既存の計画を見直す必要がある。「ナンバーワン」ではなく「オンリーワン」、港区ならではのまちづくりを住民主体で考えるべき。
堀信子氏
重症心身障害児の親として、子供が他界するまでは思うように活動できなかったが、今、経験を踏まえ、積極的に活動している。以前の港区の福祉は何もなされてこなかったが、住民がかかわることにより少しづつ変わってきた。
しかし、最近の役所は「お金がない」ことを言い訳にすることが多い。それならば、「お金がないなら頭を使え」と言いたい。もちろん、区民自信、自分たちも主体的に考えていくので・・・
秋本穣氏
区役所は、行政サービスを提供する企業体という意識を持つべき。そのための具体的提案をしたい。
1.
社長(区長)の業績を数値で評価する方法を考えるべき。(コスト意識を反映させて)
2.
大福帳的会計手法から企業会計手法への転換を図るべき。
3.
役所の職員への民間人の登用と、議会への、長きをもって尊しとしない有為な人材供給。
4.
広報の充実。0120の採用やITの積極活用。民間で言うIRの導入など。
第二部パネルディスカッション
先進自治体で活躍された、あるいは活躍中の、村尾氏・阿部氏を招き、港区政改革のヒントを得るべく企画した。今回は、両氏の発言から、重要と思われる部分を中心に報告する。
三重県での事例〔村尾氏より〕
北川正恭知事の明確な方向転換が改革のきっかけ。
→【行政は供給者の論理から住民の論理へ】
@
サービス提供機関としての競争意識の導入→ex.)窓口の昼休みは是か非か
A
徹底した情報公開は非常に有効な手段
275本の事業について必要性を検証し廃止の方針を打ち出したが、内部での水面下の調整は一切行なわず、唐突に発表。これにより、職員が目覚め、県議会が目覚めた。
県議会では、推進は、現状維持派の部長を呼び、それぞれにプレゼンテーションさせるなど、徹底的な議論が展開されるという新たな展開も生まれた。
その結果、202本の事業が廃止になった。行政・住民・議会の意識改革の動機付けとしての具体的な事例。
長野県での事例〔阿部氏〕
県民と県知事・県庁の距離が格段に縮まった。
→車座集会、県民の声ホットライン、どこでも知事室、ガラス張りの知事室など、これまで県民にとって敷居の高かった知事・県庁が身近になっている。【県民の関心を高めるという田中康夫知事の功績】
県庁としても、知事の方針に沿い、これまで内部のみで行なわれてきた次年度予算の部局要求の段階を県民に公表するようになった。→本来県民のための予算編成を、役所内部で全て処理するのはおかしいという発想から・・・
しかし、公開しても、県民からの意見が100〜200程度しかない。
住民が主体的に政治を変えていこうという状況は、まだまだ途上なのではないか。
〔村尾氏〕
三重県でも、情報公開がなされない際は、多くの方が公開すべきの声をあげるが、全面公開するととたんに誰もこないという状況はあった。
住民は、サービスの要求というところにとどまっていてはだめで、積極的な関与が必要。
キーワード
「責任と義務」、「受益と負担」を住民は認識すべき。
−行政に民間の意識や知恵を注ぎ込むべき
〔村尾氏〕
「官と民」という分類と「公と私」という分類はしばしば混同されるが、実は別物。「公と私」の中の「公」の部分は、必ずしも官独占で担うものではない。つまり、「公=官」ではないのである。
広がる「公」の分野は、NPO・NGOや市民・住民の自主的活動もともに担っていくべきである。
−果たして市民・住民に担っていけるのか?
担っていけるような社会をつくるべく、NPOを主宰し活動している。その素地は十分あると思う。
住民は、「受益の総量=負担の総量」、がすなわち政治だということを忘れてはいけない。これを踏まえて、税金を使って行なうべき事業は何か、税金を使うべきかどうかという立場にたった論議が重要。
〔阿部氏〕
民間との協働、連携について、長野県の事例から・・・
@
知事の補助機関(審議会等)の公募委員の増。
A
知事の「脱マンション宣言」をうけた軽井沢のまちづくりにおいての、住民主体の議論形成の実践。
B
全ての管理職の福祉施設での研修の実施。
さらに、公務員の民間からの登用についても、制度的に可能であり、考えていきたい。
−村尾氏のNPOは政治への住民参加の視点から興味深いが・・・
〔村尾氏〕
これまで話してきたような内容を具現化するための活動。政策の基準とも言うべき「市民憲章(シチズンズ・チャーター)」を、これまでのように行政や政治家に任せるだけでなく、住民の視点で住民自身がまとめようというもの。つまり、本来住民のためにある政策を、「レディーメイド」から「オーダーメイド」にしていくということ。ただし、いわゆるドブ板的発想で「あれも、これも」にならないようにしなければならない。
質疑の時間
時間が短かったので、質疑から内容を深めることはできなかった。ここでは、質疑の時間での発言を列挙するにとどめる。
l
いずれにしても、区民として幸せが感じられるかが問題。不幸せ間・未来への閉塞感は財政問題への取り組みだけで取り除けるのか。
l
行政がもっと丁寧に対応すれば住民の意見も増えてくるはず。NPO等、民間の公的活動に対する資金援助も当面は必要。幸せを感じられるかどうかは、究極、自らの問題ではないか。
l
人と人とのネットワークが重要であり、行政職員の中にも柔軟な発想を持った方がいるはず。対立ではなく、協力で進めていきたい。